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2016年6月8日水曜日

Barbara Barbara, we face a shining future : Underworld



前作「Barking」からなんと6年ぶりとなる Underworld の新作。その間に Karl Hyde がソロアルバムを出したり、Brian Eno とコラボレーション作品を出したりと活動していたのでご無沙汰感はそれ程もなく。でもこうして聴くと二人のケミストリーが久々に感じられて嬉しくもある。

この作品のプロモーションで来日し、ミュージックステーションを始めとする各メディアに露出していたけど、やはり「Born Slippy .NUXX」の呪縛からは逃れらないんだなあ、と悲しくなってしまったり。そりゃあライヴで一番盛り上がる曲だし、彼らのキャリアを語る上で外すことの出来ない名曲だ。脱退した Darren Emerson もこの名曲に対して同じ忸怩たる思いを抱えているだろう。でもそれはそれ、新しい作品は別次元、という彼らの吹っ切れ加減がここからは感じられる。

ライヴ映えするような仰々しい曲は収められていないものの、大名作「Dubnobasswithmyheadman」に通じる繊細さ、簡素さがそこかしこに息づいており、極めてエモーショナルな作品に昇華されているじゃないですか。極限まで無駄を排除し、電子音楽としての機能美に満ち溢れたアルバム。ここまで己の道を極めると、潔いポジティヴィティすら感じてくる。こういう作品を傑作と言うんだろう。

2015年2月18日水曜日

Baby Wants To Ride : Underworld vs Heller & Farley


Baby Wants To Ride : Underworld vs Heller & Farley


1年前の2014年3月に59歳という若さで亡くなった、シカゴ・ハウスのオリジネーターであるフランキー・ナックルズ。偉大なる彼の功績を称えるべく、UKの名門レーベル Junior Boy's Own から Underworld と Heller & Farley  がトリビュートEPをリリースしました。彼らがデジタルおよびヴァイナルでリリースするのは87年作品のシカゴクラシックである「Baby Wants To Ride」のカバー。本作の収益金は、俺たちの兄貴なエルトン・ジョンが立ち上げたエイズ基金の一部である、フランキー・ナックルズ基金に寄付されるとのこと。あ、ちなみに僕はストレートです(笑)。

黒光りする汗とエロスとグルーヴがオリジナルから滴り落ちているに対し、本カバーはクールな質感と時代感を伴わせています。共通しているのは、暗闇でうごめく男どもの享楽的アトモスフィア。時代や国が変わろうとも、差別への反抗のために快楽を追求する男気は決して変わることはない。ブラック・マシン・ミュージックとはそもそも何なのかを振り返させる好カバーです。



2014年7月29日火曜日

High Life : ENO • HYDE

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Someday World(過去レビュー)から僅か2ヶ月後にリリースされた ENO・HYDE の2ndアルバム。1stのアウトテイク的なアルバムなんだろう、と高を括っていたら、いやいやお二人を軽く見くびっていました。すいません。前作とは違う作風かつプロジェクトの骨子が明らかになっており、二人の叡智が高次元で拮抗しておりました。今回はボーカル控え目、生演奏重視の即興音楽となっており、カール・ハイドは素晴らしいカッティングギターを弾きまくっています。

そもそもこのプロジェクトはスティーヴ・ライヒとフェラ・クティを掛け合わせた「ライクティ」という造語を標榜しており、ミニマリズムとアフロファンクを融合させた実験音楽を追求しているとのこと。そのゴールが本作では如実に姿を表しており、ミニマルな反復音楽と疾走感のあるアフリカンビートが脳髄に快楽を与えます。プリミティヴな野性とクールな知性がせめぎ合い、新次元のグルーヴが産み落とされていく様相は圧巻。

2014年7月21日月曜日

Someday World : ENO • HYDE

http://www.amazon.co.jp/gp/product/B00IN3KY84/ref=as_li_qf_sp_asin_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=B00IN3KY84&linkCode=as2&tag=yokohamabeatj-22


ロックミュージックのみならず、現代音楽やクラブミュージックといった多岐に渡る分野へ影響を及ぼし続ける巨匠 Brian Eno。80年代から連綿と続くキャリアを持ち、クラブミュージックやロックフィールドの第一線で活躍し続ける Underworld の Karl Hyde。マエストロにして賢者といえるこの二人がコラボレーションしたらどうなるのか?その答えは本作品で語られ、誰もが納得する答えになっていた。

20年も前から旧交を温め、お互いの作品でも交流関係にあった間柄。そんな二人が Eno のスタジオで音楽的実験を繰り返し、その結果として産み落とされたのが本作だ。Eno が山積みにしていた未完成トラックを Karl Hyde が受け止め、「これこそ自らのルーツ」とギタープレイを注入することで化学反応を起こさせる。いや、ここで聴けるトラックは化学反応というよりも、当然の帰結とも言える内容なのだ。内なる情熱を静かに漂わせ、距離感を保ちながら音を紡ぎだす姿が見えるかのよう。

Eno が70年代にロキシー・ミュージックで実践したストレンジでグラムの香りが漂うロック、80年代にトーキング・ヘッズ等で実践したクールなポリリズム~アフロファンク、全キャリアにおいて貫かれている極めて高品位なサウンドプロダクション、Karl Hyde が元来持ち合わせている80年代の抒情性やニューウェーヴのよれ具合。それらが電子音や人力を超越した高次元で融合し、多幸感が溢れたボーカルアルバムになっている。全てのリスナーが納得し、当然の帰結と断言できるアルバム。だけどもこの二人でしか導くことのできない答え。時にはジャーマン・プログレッシヴ・ロックの香りさえ漂う本作は極めて美しい。

2013年5月21日火曜日

Pearl's Girl : Underworld


Pearl's Girl : Underworld

「弐番目のタフガキ」(過去レビュー)に収録された96年リリースシングル。僕が持っているのは米国TVTからリリースされたバージョンで、アルバム未収録曲がてんこ盛り。まず「Pearl's Girl」のオリジナルは当時全盛だったトライバルビートを惜しげもなく引用し、Darren Emersonの趣味全開とも言えるべきトラック。やはり元々DJということもあって、ロマンティシズムよりもダンスなんでしょう。

リミックスバージョンの「Pearl's Girl (Tin There)」は原曲と趣が違う、アシッドでトランスなベースラインがとっても印象的な高速トラック。また「Pearl's Girl (14996 version)」はやや地味ながらも、Karl Hydeの「Crazy,Crazy,Crazy....」がサンプリングされている辺りがやはりクレイジー。「Puppies」、「Oich Oich」、「Mosaic」、「Deep Arch」は浮遊感溢れる実験的トラックやら、BPM緩めの地味なトラックやらで、Darren Emersonの影響はさほど感じられない。それでもやはりカップリング曲であることを考えれば、クオリティは高いといえるでしょう。ちなみに「Cherry Pie」は「タフガキ」に収録された「rowla」の別バージョン。

Tracklist

01. Pearl's Girl (Tin There) – 8:07
02. Pearl's Girl (14996 version) – 8:50
03. Puppies – 3:51
04. Oich Oich – 8:30
05. Cherry Pie – 8:18
06. Pearl's Girl (edit) – 4:22
06. Pearl's Girl (album version) – 9:35
07. Mosaic – 4:58
07. Deep Arch – 8:22



2013年5月19日日曜日

Dirty Epic/Cowgirl : Underworld

「Dirty Epic」も複数バージョンでリリースされてますが、僕が持っているのはTVTからリリースされたこのCD。「Dirty Epic」と「Cowgirl」のカップリングに加えて、「Cowgirl」の原型となっている問答無用の「Rez」、アルバム収録曲の「River of Bass」という大容量。収録時間はこれまた74分にも及び、ここでも「アルバムかよ!」と突っ込みたくなる。


Dirty Epic/Cowgirl : Underworld

アンダーワールドに於けるカール・ハイドのボーカルは記号性に満ちているんだけど、稀に「Dirty Epic」のような曲も存在する。つまりここでのボーカルは加工されておらず、しかも歌心が溢れまくっておりテクノとは言い難い。当たり前なんだけど、先日のソロアルバム(過去レビュー)と同じ根っこだなぁとつくづく感じます。甘ったる過ぎるほどのメロディと起伏のある曲の流れは、まさしくニューウェーヴ出身ミュージシャンが持っている共通項。特に「Dirty Guitar Mix」におけるギターのカッティングなんてロックが持っているグルーヴそのもの。オリジナルよりもこのミックスの方がダイナミズム溢れる良作とさえ思えます。ちなみに同時収録されている「Cowgirl」別バージョンは、原曲が持っているトランス感が損なわれているのでチト残念。

Tracklist

01. Dirty Epic (Dirty Guitar Mix) - 10:00
02. Dirty Epic (Dirty Mix) - 11:14
03. Dirty Epic (Album Version) - 9:56
04. Cowgirl (Irish Pub In Kyoto Mix) - 11:45
05. Cowgirl (Winjer Mix) - 6:25
06. Cowgirl (Album Version) - 8:29
07. Rez - 9:55
08. River of Bass - 6:26

2013年5月15日水曜日

Dark & Long : Underworld

このところ、僕の中でアンダーワールド祭りが続いてます。


Dark & Long : Underworld

彼らの初期名作「Dubnobasswithmyheadman」(過去レビュー)オープニングを飾る「Dark & Long」。イギリス本国ではJunior Boy's Ownから様々なバージョンのシングルがリリースされていました。僕が持っているCDシングルはデンマークのApril Recordsというレーベルからディストリビューションされたもので、ここにはフロア完全対応の様々なリミックスバージョンが収録されています。もちろん「Dark Train」も収録されている。

注目すべきは「Thing in a Book」で、20分にも及ぶ長尺トラック。「Dark & Long」の基本的骨格を継承しながらも、原型から大きくかけ離れた作りになっています。しかもBPMが速いので、今の耳で聴けば時代を感じさせる。シングル全体では70分以上にも及び、アルバムかよ!と突っ込みたくなる長さ。それでもやはり、どこを切ってもアンダーワールド汁が滴り落ちるのは、彼ら特有のセンチメンタリズムとロマンティシズムが貫かれているから。ダレン・エマーソン加入に伴いクラブミュージックのエレメントが注入されるも、三つ子の魂百までと言うべきか。このふわふわした感覚はコアメンバー二人が独自に持ち合わせたものらしい。ここら辺がロックリスナーに受けた理由なんだろうね。

Tracklist

01. Dark & Long 7" – 4:07
02. Thing in a Book – 20:12
03. Spoon Deep – 17:53
04. Dark Hard – 11:30
05. Dark Train – 10:28
06. Burts – 8:47


2013年5月7日火曜日

Edgeland : Karl Hyde


Edgeland : Karl Hyde

アンダーワールドが現在のようにクラブミュージックへコミットメントする前、彼らがしょぼくれたニューウェーヴバンドだったのは余りにも有名すぎる話。本人達にとっても恥ずかしい過去のようで、公式ディスコグラフィからは初期二作が抹消されていますが、根っこはUKロック直系の叙情性とラジカリズムを持ち合わせたユニットです。そんな業界経験の長い中心人物カール・ハイドが、キャリア史上初となるソロアルバムをリリース。どんな作品になるのか誰も予測できなかったようで、聴くべきかスルーかという判断がリリース前から分かれていました。結論を言うと、絶対にスルーしてはいけない作品。それどころか2013年上位にランキングされる素晴らしさ。

アンダーワールドが持っているダンスミュージック機能が排除されている代わり、彼らのセンチメンタリズムや詩的な美しさに焦点を当てた音楽になっています。これはエレクトロニカ?ポストロック?そのどちらにも属さない壮大なバンドサウンドへと昇華されており、全く新しい形態のロックを提示しています。そもそもアンダーワールドでのカール・ハイドの声は、あくまでもダンスミュージックの一部として機能していたもの。今回はその世界が更に引き伸ばされ、聴き手のインスピレーションを限りなく刺激してくれます。メロディは当然ながらアンダーワールド直系の美しさを保持しており、時にはスコットランド民謡のように牧歌的側面も見せてくれる。ここまで分かりやすく、世界の美しさと寂寥感を訴えかけたロック作品は近年珍しいのでは?

タイトルに冠されている「エッジランド」とは都会の外れ~田舎の始まりとなる地点を指すようで、荒廃と美が同居している風景を描いているとのこと。神奈川県で言えば本厚木の駅から車で10分ほど行ったところみたいなものか?確かにその辺は丹沢山地の美しさがありながらも、荒廃の象徴みたいなヤンキーも多いしなぁ、なんて変に納得したり。ともあれ、ここでは僕ら日本人が見ている風景とは若干違った、グレーターロンドン周辺地域を指しているらしい。デラックス・エディションに付属しているDVDを観ればよく分かる。約1時間もの映像作品が収録されていますが、そこには荒んで打ち捨てられた近郊の景色、そこに暮らす人達が映し出されており、希望はなくとも美しさと寂寥感が表現されている。まさしくサウンドスケープという言葉がしっくりくる、音の情景が心の襞まで染み渡ってくる作品です。