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2017年6月12日月曜日

Before the Flood (Music from the Motion Picture) : Trent Reznor and Atticus Ross, Gustavo Santaolalla & Mogwai



熱心な環境保護活動家として知られる俺たちのデカことレオナルド・ディカプリオ。そんな彼が気候変動の影響を追うドキュメンタリー映画が「地球が壊れる前に」です。製作総指揮は巨匠マーティン・スコセッシで、ナショナルジオグラフィックから配給されました。それにしてもこの邦題は何とかならないのかな。原題が「Before the Flood」だから気持ちは分かるんだけど、ボブ・ディランのライヴアルバム(『偉大なる復活』 - Before the Flood)にもかけているんじゃないの?

ここで言及したいのがサントラを手掛ける面々。「ドラゴン・タトゥーの女」や「ゴーン・ガール」、「ソーシャル・ネットワーク」といった数々のサントラを手掛けた説明不要の二人 Trent Reznor and Atticus Ross。そしてMogwai(!)とアカデミー作曲賞を受賞しているミュージシャン Gustavo Santaolalla という実に豪華な組み合わせ。静謐で耽美的で物悲しく、ポストロックとエレクトロニカの世界を完全内包している。僕の大好きな監督・俳優・ミュージシャンが揃っているので、この映画は見ないとダメだなぁ。



2016年12月10日土曜日

「この世界の片隅に」オリジナルサウンドトラック


「この世界の片隅に」オリジナルサウンドトラック

この映画(過去の記事)を見終わって、腰が抜けるほどの衝撃と温もりを味わい、同じ週にもう一度観に行ってしまいました。映画をリピート鑑賞したのは人生2回目だと思う。広島弁は理解できないところがあったので、2回目は「日本語字幕版」を。2回目なんだから泣くわけないもんねっ、と舐めてかかっていましたが、オープニング曲「悲しくてやりきれない」が流れた瞬間に目から大量の水が(あちゃあ)。おいおい何だよ、映画に対する免疫ができているどころか、泣くという刷り込みができているじゃないか。それほどまでにコトリンゴの音楽は大きな役割を果たしているのです。

観終わってさっそくサントラを購入。まずジャケットが素晴らしくて涙(宝物にしたくなるレベル)。何度も何度も聴き返して、映画のシーンを思い出して号泣。何だろうねこれ、泣けるシーンはそれほどないのに泣いてしまう。ドリフ大爆笑のテーマで泣くなんて…くっ…(いや実は戦時歌謡曲の「隣組」)。終盤で流れる「みぎてのうた」、エンドロールで流れる「たんぽぽ」を聴いても涙腺決壊、困ったねぇ。すずさんは今どこで何をしているんじゃろうか。クラウドファンディングに参加した皆さんを紹介した後の、一番最後の最後が忘れられないねぇ。

2015年11月21日土曜日

攻殻機動隊 新劇場版 O.S.T. : Cornelius


攻殻機動隊 新劇場版 O.S.T. : Cornelius

オリジナルアルバムを久しく出さず企画ものを乱発している Cornelius ですが、どの企画ものも Cornelius サウンド一色に仕上げてしまうあたりはこの人の凄いところだと思います。攻殻機動隊ARISEのサントラ(過去レビュー)に引き続き、「攻殻機動隊 新劇場版」のサントラもこの人のオリジナルアルバムと言い切っていい仕上がり具合。草薙素子の声を演じている坂本真綾がボーカルとして参加しており、清涼感のあるウィスパーヴォイスを披露しています。しかも坂本慎太郎を歌詞を手掛けるという異色のコラボレーション!それにしても、小山田圭吾ってカヒミ・カリィの頃からウィスパーヴォイスが大好きだよね。

他に楽曲参加しているのは Cornelius 自身も参加している高橋幸宏&METAFIVE(YMOチルドレンをがっつり集めているのが凄い)や、ショーン・レノン(本当のビートルズチルドレン)など。たぶん意識的だろうけど「Execution No.9」や「Involution No.9」という曲のタイトルにもにやりとしてしまう。

YMOのライヴなどでギタリストとして参加していることでも知られていますが、この作品でもクレイジーで前衛的な腕前を発揮。立体的な音響空間を構築したり、唯一無二のエレクトロニカを作り上げたりするだけでなく、ギタリストとしてもやるもんだなあ、と改めて感心。原作が持っている肉体とテクノロジーの融合性を独自に表現しています。


2015年3月2日月曜日

Gone Girl : Trent Reznor and Atticus Ross


Gone Girl : Trent Reznor and Atticus Ross


去年公開されたデヴィッド・フィンチャー監督のサイコ・サスペンス映画「ゴーン・ガール」。これまで「ソーシャル・ネットワーク」や「ドラゴン・タトゥーの女」のサントラを手掛けてきた Trent Reznor and Atticus Ross が音楽担当に起用されています。元々ダークな作風で知られるデヴィッド・フィンチャー監督と、救済の余地なしな音楽を創らせたら地獄で一番というトレント・レズナー。タッグを組んだら底なしの音楽になるに決まってる。案の定、通勤電車で聴いてたら気分が悪くなり、会社に行きたくないモードになってしまいました。


映画自体はまだ観ていないんですが、このサントラを聴いた時点でどのような作風かは分かるというもの。ここ最近のトレント様の作風を思う存分発揮しており、ダークアンビエント極まりない居心地の悪い音像を作っています。深遠なインダストリアル風景と耽美なピアノの調べを駆使し、聴き手の潜在的苦痛と不安感を煽りまくる。決して朝の通勤電車や情緒不安定な時、独り寂しい夜に聴いてはいけない。いやーな感じになること請け合いだから。そういう意味で言うと、監督の「マッサージ・パーラーで聴くような、すごくひどい音楽を考えてみて」という発注にものの見事に応えている。リラックスできそうなのに全く癒やされなくて、確かに不安感が高まってくる作品だ。




2013年7月20日土曜日

連続テレビ小説「あまちゃん」オリジナル・サウンドトラック


連続テレビ小説「あまちゃん」オリジナル・サウンドトラック

ドラマとしては異例の大ヒット、もはや社会現象にまでなりつつある連続テレビ小説「あまちゃん」がぶっちぎり状態になっています。何故ここまでヒットするのか?宮藤官九郎の脚本が面白いから、というだけではないようです。能年玲奈が演じるあまちゃんがピュアで天然な魅力を発揮しているから。小泉今日子が演じる母親 春子のやさぐれっぷりが半端無いから。薬師丸ひろ子が演じる、往年の清純派アイドルにして国民的大女優である鈴鹿ひろ美のワガママっぷりに腹抱えるから。随所に80年代ネタをちりばめて、突っ込みどころが満載だから。…魅力を上げればきりがないんだけど、王道の朝ドラでありながら全方位をカバーしているからだと思います。つまり従来の朝ドラファンも満足できる王道っぷり、僕らアラフォー世代を飽きさせない80年代文化やアイドル事情が盛り沢山。更にはAKB世代までも取り込みつつ、通常の見方ができながらもオタク的に突っ込んだ見方もできるという画期的ドラマなのです。

更にドラマで重要な役割を果たしているのが大友良英による音楽。こちらもドラマのサントラにしては異例の大ヒット。視聴者を元気にするオープニングテーマは誰の耳にも馴染みやすく、泣く子に聞かせればあっという間に笑顔になってしまう曲。スカとチャンチキをベースにしながら、どのジャンルにも属していないという不思議にアヴァンギャルドな曲です。そもそも大友良英はギタリスト、ターンテーブリストにしてアンダーグラウンド音楽の大家。フリージャズを基礎としながらノイズミュージックや現代音楽を追求するミュージシャンです。そんな人が作る音楽だからこそ、耳に馴染み易いながらもどこかひねくれて通をも唸らせる。まさしくドラマのあまちゃんそのものじゃないか。

東日本大震災の後、DOMMUNE FUKUSHIMA!というプロジェクトが立ち上がりました。これにも福島育ちの大友良英が参画していますが、立ち上げ時にライブストリーミングされた大友良英のギターが非常に印象的でした。無言でかき鳴らすフィードバックギターの洪水やノイズの嵐。明らかに大友良英は激怒していました、ギターから火が吹いているかのようでした。故郷が汚されたことに対して、ギターを通じて怒りを表明していました。でも普段は訥々とした喋りで優しさが伝わってくるかのよう。そんな故郷を愛する大友良英の素敵でアヴァンギャルドな音楽こそ、ドラマあまちゃんの重要な構成要素なのです。

2013年5月13日月曜日

Trainspotting #2

大ヒットした「トレインスポッティング」OST(過去レビュー)を受けてリリースされた続編への考察。


Trainspotting #2

劇中で使われたにもかかわらず、正編サントラに収録しきれなかったトラック、カットされたシーンで使われたトラック、映画製作者にインスピレーションを与えたトラックを集めた、世にも珍しいサントラの続編。こいつがなかなか作品の世界観を表現しており興味深い。正編よりもクラブミュージック志向がやや強まっている。

まず原作者のアーヴィン・ウェルシュについて振り返ってみると、プライマル・スクリームのシングル「primal scream , irvine welsh and on-u sound present...the big man and the scream team meet the barmy army uptown」に朗読者として参加していることが地味に(しかも非常に地味に)知られている。このことから、ウェルシュはUK作家の中でもロック志向の強い、フーリガン志向の強い作家だということが分かる。

この続編サントラに収録されているトラックの中で、ゴールディの「Inner City Life」は劇中に使われていない。アーヴィン・ウェルシュが「登場人物たちが聴いていることだろう」と続編への収録を提案したとのこと。また、プライマル・スクリームの名曲「Come Together」は制作側が何とかして劇中で使おうとしたが、適切なシーンが見つからなかった。ジョイ・ディヴィジョンの「Atmosphere」はダニー・ボイル監督がマンチェスター生まれということで、常にジョイ・ディヴィジョンを映画で使いたがっていた。にも関わらず、これらはここに収録されても何ら違和感がない。つまり、原作、映画、音楽が三位一体だったからこそヒットしたんだろう。

一番注目したいのが、アンダーワールドの初期曲である「Dark & Long (Dark Train)」が劇中で使われていること。今でこそ彼らの定番曲として知られているが、仄暗いプログレッシヴハウスがメジャー映画で使われることなんて斬新な試みだった。これまで地下で蠢いていた音楽に光が当たった瞬間で、続く「Born Slippy(Nuxx)」でアンダーワールドは全く新しい高みへと到達したのだった。

Tracklist

01. Choose Life : PF Project featuring Ewan McGregor
02. The Passenger : Iggy Pop
03. Dark & Long (Dark Train) : Underworld
04. Carmen Suite No.2 : Georges Bizet
05. Statuesque : Sleeper
06. Golden Years : David Bowie
07. Think about the Way : Ice MC
08. A Final Hit : Leftfield
09. Temptation : Heaven 17
10. Nightclubbing (Baby Doc Remix) : Iggy Pop
11. Our Lips Are Sealed : Fun Boy Three
12. Come Together : Primal Scream
13. Atmosphere : Joy Division
14. Inner City Life : Goldie
15. Born Slippy(Nuxx) (Darren Price Mix) : Underworld

2013年5月9日木曜日

Trainspotting

前回ポストしたカール・ハイドの作品(過去レビュー)へ追記。キャリア初のソロアルバムを作ったきっかけは、どうやらブライアン・イーノだったよう。イーノ主導のプロジェクト「Pure Scenius」に参加したことがソロアルバム制作への大きなモチベーションとなり、シンガーとして前に出るように背中を押してくれたらしい。ブライアン・イーノに、ロンドン五輪の音楽監督を務めたアンダーワールド、芸術監督を務めたダニー・ボイル。そこには大きなコネクションがある。


Trainspotting

何を今更と言われてしまいそうだけど、96年に大ヒットを記録した映画「トレインスポッティング」のサントラについて。言うまでもなく、アンダーワールドがブレイクするきっかけを作った映画で、「Born Slippy(Nuxx)」(過去レビュー)がラストシーンにて実に効果的に使われている。更にはブライアン・イーノの名作「Apollo」(過去レビュー)に収録されている「Deep Blue day」も便所潜水シーンにて引用。そして監督を務めたのが、当時新進気鋭だったダニー・ボイルという訳だ。

96年といえば、ブリットポップが終焉していくタイミング。そもそも当時のブリットポップなんてメディアハイプとしか思えなかったんだけど、ここに収録されている曲はそんなことに関係なく、新旧織り交ぜ実に豪華。プライマル・スクリームがタイトル曲「Trainspotting」を書き下ろし、ダビーな当時の新作「Vanishing Point」(過去レビュー)にも収録。ブリットポップ立役者だったブラーが曲を提供するかと思えば、マッドチェスター・レイヴ・オンな(実際にはハッピー・マンデーズです)ニュー・オーダーの超絶名曲「Temptation」までも収録。UKだけでなく、デトロイトからパンクゴッドファーザーのイギー・ポップ御大がオープニング曲「Lust For Life」を提供すれば、NYアンダーグラウンドのルー・リード翁の「Perfect Day」まで。ドラッギー要素満載なこの映画に欠かせない収録曲群で構成されています。

ただし、「当時の大ヒット映画」だなんて神格化されているけど、今振り返るとミニシアター系映画として大ヒットしたという話。不景気なイギリスを舞台にした、ドラッグに溺れる失業中の若者たちを描いているだけに、万人受けする内容ではない。驚くべくことは、この映画によりアンダーワールドが一躍注目されるようになり、若手俳優のユワン・マクレガーが後にまさかのオビ=ワン・ケノービを演じることになり、更にはダニー・ボイル監督が「スラムドッグ$ミリオネア」でアカデミー賞を受賞したという事実。その意味では実に重要な映画。

2012年2月16日木曜日

The Girl With the Dragon Tattoo : Trent Reznor and Atticus Ross


The Girl With the Dragon Tattoo : Trent Reznor and Atticus Ross

絶賛公開中の「ドラゴン・タトゥーの女」はまだ観てないんですが、サントラは毎日のように聴きまくっています。ここで起用されているはそう、デヴィッド・フィンチャー監督の前作品である「The Social Network」のサントラ(過去レビュー)を手掛けたTrent Reznor and Atticus Ross。フィンチャー監督が作る、硬質で冷たい世界に欠かせない存在となりつつあります。

もっぱら話題となっているのがZepの超有名曲である「移民の歌」をカバーしていること。ボーカリストとしてフィーチャーされているのがYeah Yeah YeahsのKaren O。原曲をそのままデジタル化したようなカバーは奇を衒っていませんが、Trent Reznorの世界を補完するのに十分な機能を持っています。更には最終曲に使われているのが、Trent Reznorの別プロジェクト How to Destroy Angelsによる、Bryan Ferryの「Is Your Love Strong Enough?」のカバー。ボーカルがフィーチャーされているのはこの2曲のみで、それ以外は全てインスト。しかもCD3枚組という大ボリュームで、映画本編そのものよりも長い。かつてのGhosts I-IV(過去レビュー)を彷彿とさせるような、切なくダークなアンビエント~エレクトロニカ絵巻が繰り広げられています。3時間にも渡る暗黒トラックを聴く度に映画そのものへの期待が高まってきますね。

2012年2月2日木曜日

We Bought a Zoo


We Bought a Zoo

あの頃ペニー・レインと」で知られるキャメロン・クロウ監督。もともとがローリング・ストーン誌の記者だったこともあり、ロック業界にはかなり通じているそうです。その監督作品の「We Bought a Zoo」が去年の暮れに全米公開されました。出演するはマット・デイモンとスカーレット・ヨハンソンだと言うからかなり豪華。更にはサントラ担当として抜擢されたのがSigur RosフロントマンのJonsi。Sigur Rosのライヴドキュメンタリー「Heima」(過去レビュー)からインスパイアされてこの映画を作ったそうなので、音と映像の相性の良さは折り紙つきなのかも知れません。

さて、ここに収録されているSigur Ros/Jonsiのトラックは殆どが既発曲ながら、新曲が2曲含まれているのが注目すべきところ。サントラという体裁を取っていながら、その完成度は極めて高く、もはやJonsiオリジナル作品と言ってもいいぐらい。かつてのSigur Ros作品のような凍てついた感覚は皆無で、逆にハートを温かくするようなピースフルな雰囲気が充満。魂の賛美歌とでも言い切ってしまいたいような、荘厳で優しいポジティヴィティに彩られています。サントラを聴いて、ここまで映画に対する期待値が高まってしまうのも珍しいかも。