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2016年7月31日日曜日

A Moon Shaped Pool : Radiohead


A Moon Shaped Pool : Radiohead


今年6月にリリースされた約5年ぶりの Radiohead 新作を聴きまくってます。というより自分の一部分の何かが、ひたすら聴くことを要求し続けている。前衛的なのに聴き易く、一部分の何かにすんなりと染みこんできます。これはもう、彼らの作品の中でも傑作の部類に入ると言い切っていい。そりゃあ衝撃性でいえば「KID A」にはかなわないものの、完成度の高さで言えば「OK Computer」に匹敵するレベル。


もはや彼らにとって欠かせない存在の Nigel Godrich によってアンビエントで幽玄な空間が強調され、エレクトロニカな風情を醸し出しながらも、バンドとしての肉感的な鼓動すら感じさせる。新たな高みを象徴するオープニング「Burn The Witch」から、ライヴアルバム「I Might Be Wrong」に収録されていた既発曲「True Love Waits」まで、全てが完璧で美しく予定調和のようだ。


哀しさと、前を向いている情熱の共時性。堕ちていく感覚がありながらも、救済すらも感じさせて掴みどころがない。ロックやエレクトロニカ、アンビエントは勿論、クラシック、ジャズやアシッドフォークからジャーマンプログレまで全ての音楽を消化し、Radiohead であることを提示した大傑作。今年のサマソニで伝説を作ってくれる予感すらある。


 


2015年2月3日火曜日

Tomorrow's Modern Boxes : Thom Yorke



Radiohead のフロントマン Thom Yorke が昨年9月に突如としてリリースした 2nd ソロアルバム。「The Eraser」(過去レビュー)以来、実に8年ぶりのソロ名義となり、プロデューサーは切っても切り離せない存在の Nigel Godrich。リリース形態も相変わらず実験的で、BitTorrent という P2P ソフトウェアを通じての配信、もしくはヴァイナルリリースの2通り。過去に Radiohead の「In Rainbows」(過去レビュー)においてユーザが値段を決めるというシステムを導入し、音源販売の在り方に一石を投じましたが、今回は BitTorrent というテクノロジーの可能性を追求しているそうです。

BitTorrent クライアントが多いほどダウンロード速度が速くなるらしいんだけど、一般的なユーザにしてみたら iTunes などの大手配信サイトから購入するのが楽っつちゃあ楽。どうやらサーバ側の負担軽減が目的のテクノロジーらしく、配信側の目線に立った試みと言えるでしょう。サーバへの投資が抑止されれば、浮いた金がアーティストや価格により還元される、という仕組みです。

さて、内容はと言えば「The Eraser」のような脳へ直接作用する完成度の高いエレクトロニカとは異なり、Atoms For Peace の「AMOK」(過去レビュー)のような肉感的エレクトロニカとも違う。静謐で情感あふれる世界は変わらずなんだけど、音作りに安穏とした雰囲気を感じる。これは宅録感のあるシンプルな質感によるものなんだろう。幽玄としたアンビエンスと簡素でミニマルな作りに緊張度合いは感じられず、逆に解放感すら覚えてしまうのです。

2012年3月2日金曜日

TKOL RMX 1 2 3 4 5 6 7 : Radiohead

去年の9月にリリースされた瞬間に購入したくせに、どこかで「大したこと無い」という評判を耳にして放ったらかし。何とはなしに聴いてみたら、想像を超えるほど良かったので絶賛ヘビーローテーション中のリミックス盤。


TKOL RMX 1 2 3 4 5 6 7 : Radiohead

The King of Limbs(過去レビュー)収録曲のリミックス12インチ/デジタルフォーマットが夥しく切られたのが2011年7月から。その後、同年10月まで計7枚がリリースされましたが、9月にはそれらをパッケージしたCDがリリースされたという仕掛け。意外だったのが、これがRadiohead初のリミックス盤だってこと。Thom Yorkeのリミックス盤(過去レビュー)や「コム・ラグ:2+2=5」みたいな作品があったので、全くそんなことに気づかなかった。はたまた、エレクトロニカ方面に意識的な姿勢を持つバンドだから、ということもある。何はともあれ、ここで起用されているリミキサー陣は旬で新進気鋭なアーティスト達。つまりはエレクトロニカ~IDMだけではなく、ポスト・ダブステップを含めたベース・ミュージックまで裾野が広がっている。当然ながらThom Yorkeの趣味を完全に反映したアーティスト群なんだろう。

で、冒頭に書いた通り、全く期待しないで(完全な先入観を持って)聴いてみたら、オリジナルの素晴らしさに勝るとも劣らない出来だったので驚いた。オリジナルが最新型クラブミュージックと親和性が高いこともあるんだろうけど、リミキサー陣がオリジナルに最大限の敬意を払っていることも作用しているはず。リミックス盤なので統一感がないのは当然としても、オリジナルが持ち合わせているクールな世界を拡張することには成功している。コアなクラブヘッズには物足りないかも知れないけど、オリジナルを再検証する意味では聴き応えのある作品となっています。

Tracklist

[Disc-1]

1. "Little By Little" (Caribou Rmx)
2. "Lotus Flower" (Jacques Greene Rmx)
3. "Morning Mr Magpie" (Nathan Fake Rmx)
4. "Bloom" (Harmonic 313 Rmx)
5. "Bloom" (Mark Pritchard Rmx)
6. "Feral" (Lone Rmx)
7. "Morning Mr Magpie" (Pearson Sound Scavenger Rmx)
8. "Separator" (Four Tet Rmx)

[Disc-2]

1. "Give Up The Ghost" (Thriller Houseghost Rmx)
2. "Codex" (Illum Sphere Rmx)
3. "Little By Little" (Shed Rmx)
4. "Give Up The Ghost" (Brokenchord Rmx)
5. "TKOL" (Altrice Rmx)
6. "Bloom" (Blawan Rmx)
7. "Good Evening Mrs Magpie" (Modeselektor Rmx)
8. "Bloom" (Objekt Rmx)
9. "Bloom" (Jamie xx Rework)
10. "Separator" (Anstam Rmx)
11. "Lotus Flower" (SBTRKT Rmx)

2012年2月22日水曜日

King of Limbs : Live from the Basement

村上春樹はRadioheadを愛聴しているそうで、Radioheadも村上春樹作品を愛読していると聞く。いわば相思相愛な関係ですが、確かに両者の共通項というものが明らかに存在する。それが何なのかは検証したことはないけど、静的な外見を装いつつ、内なる激しさや熱を放射するところなんだろう。と、この映像作品を観てふと思った。


King of Limbs : Live from the Basement : Radiohead

2011年作品の中でも傑作と言い切れる「The King of Limbs」(過去レビュー)。そのライヴDVDが去年の暮れにリリースされています。From the BasementとはNigel Godrichが手がけているプロジェクトで、このwebサイトで様々なアーティストのライヴ映像が公開されている。Radiheadも過去にIn Rainbowsのライヴ映像(過去レビュー)を公開しているので要チェック。

ここで演奏されているのは「The King of Limbs」の収録曲に加えて、Thom YorkeのプロジェクトであるAtoms for Peaceやソロライヴで演奏されていた「The Daily Mail」や「Staircase」、「Supercollider」などのアルバム未収録曲。曲の合間にリラックスした会話などが挿入されているが、演奏が始まる途端に緊張感が漲っている。有機的に繰り広げられるバンドアンサンブルを目の当たりにすると、ライヴでこそ彼らの本領を発揮するんだなと改めて実感。

今年のフジロックにはThe Stone RosesやらRadioheadやらが出演するので、実に初回(過去レビュー)以来15年ぶりに参加しようと思っています。中年の仲間入りを果たしているので、苗場に3日間とどまるのは体力的にどうかと思うけど、この機会を逃すと相当後悔しそうなので何が何でも行ってやる。