2016年12月14日水曜日
4EVER : Prince
4EVER : Prince
墓場荒らしビジネスに加担する気はさらさら無いんですが、殿下死後にリリースされたベスト盤を買わずにはいられない。ジャケットの美しさもさることながら、ブートレグ市場では有名だった未発表曲「Moonbeam Levels」が収録されているから。僕はブートレグに手を出さない主義なので、これは初めて耳にする曲。プリンス論で 西寺郷太 氏がプリンスの存在を「ショートケーキの上に納豆やミョウガをかけられた感覚」と書いたが、ご多分に漏れずこの曲も同じ感覚を兼ね備えている。
「Moonbeam Levels」は1999レコーディングセッション時に収録された、ブレイク直前の変態エナジーが漲っている佳曲。いわば「Take Me With U」のようにラブリーでありながら捉えどころのない、殿下にしか作り得ないショートケーキ/茗荷ソングだ。
他に収録されている曲は「The Hits/The B-Sides」と大して変わらないけど、ワーナーと和解しているにも関わらず93年作品「Love Symbol」以降の曲が含まれていないのは理解に苦しむ。権利関係で未解決なところが残っているんだろうけど、これでは世間から「92〜93年頃にキャリアが終わった人」と思われてしまうじゃないか。殿下の闘争はこれ以降に先鋭化していったというのに。なお、音圧は従来のものよりも高くなっており、全体的なバランスが取れたものになっているのを申し添えておく。
2016年4月22日金曜日
プリンス
目が覚めてスマホを見ると、在米プリンス好きの友人からメッセージが。「朝目が覚めたらとても信じられないニュースを聞くことになる。。。」と書かれていた。ものすごく悪い胸騒ぎがした。Yahoo!ニュースから次のような見出しが飛び込んできた。
プリンスさん急死
「プリンスにさん付けするんだ、そうだよね…」と違和感覚えながら最悪のニュースを目にした。吐き気がした。
インフルエンザによる体調悪化で、公演をキャンセルしたというニュースは知っていた。プリンスらしくないな…と思いつつも、元気になってペイズリーパークで自転車に乗っている、というニュースを聞きホッとしていた。でもこの写真が最後になるなんて…。
小さくて赤いコルヴェットじゃなくて、紫のバイクでもなくて、自転車に乗って逝ってしまったのかよ…。
何だこの感情。身内を亡くした悲しみとも違う、恋人との別れとも違う、得体のしれない喪失感。思えば30年以上、俺の魂はプリンスとともにあった。全てを愛していた。音楽だけじゃなく、気持ち悪い外見も、髭も、ひどいビジュアルセンスも、可愛いおしりも、胸毛も。全部愛していたのに!そう、プリンスは俺の全ての拠りどころで、魂の一部だった。
今日一日はプリンスに思いを馳せないようにした。泣くなんてものじゃなくて、そこらへんで号泣してしまうだろうから。いま家にいて、号泣してこれを書いている。
世界が紫に染まればいいのに!
プリンスは自転車の向こうに何を見たのかな?夜明けは見れたのかな?さようならプリンス。
May Prince live 2 see the dawn.
2016年3月20日日曜日
Hitnrun Phase Two : Prince
30年以上も殿下の尻を追い続けていると、かねてから思っていたことも麻痺してくるもんです。本作を聴いて、久々に改めて思いました。「この人は天才に違いない」と。
「HitnRun Phase One」(過去レビュー)からわずか3か月のインターバルを置いてリリースされた本作。Tidal や iTunes から配信されていますが、肝心のCDリリースが待てど暮らせど実現しない。アメリカやオーストラリアの一部では限定リリースされており、「手広くリリースするから待ってくれよなー!」なんて言ったくせに国内入手が極めて困難な状態。流通コストとの兼ね合いから広く作られることもなさそうなので、止むを得ず iTunes から購入しました。
全12曲のうち、一番下にあるトラックリストのリンク可能な5曲が既発、かつ「Stare」は去年夏に Spotify 限定でリリースされたもの。2011年以降に散発された曲ばかりで、僕が駄曲と切り捨てた「RocknRoll Love Affair」や「Screwdriver」まで収録している。気の抜けたタイトルといい、ジャケットといい、このやっつけ仕事っぷりは何なんだよーと全く期待していませんでした。が、一通り聴いてから「この人は天才に違いない」と今更ながらに痛感。何度こう思ったことか。渋谷陽一氏でさえ「天才としか言いようがない」と常々言ってるんだから、それ以上の言葉はない。
思えば去年のグラミー賞で「最優秀アルバム賞」のプレゼンターを務めたとき、極めて深いスピーチをしています。
「Albums, Remember Those? Albums still matter. Like books and black lives, albums still matter. (アルバム…みんな覚えてるかい? アルバムはまだ大事だ。本や黒人の命と同じように、アルバムは重要だ)」
米国ボルティモアでの黒人死亡事件への想いを楽曲「Baltimore」へと託し、今や死に体のフォーマットとなっているアルバムへの想いを重ねているじゃないですか。思えばアルバムというフォーマットに対して限りない愛着を示している殿下。「Lovesexy」では曲間信号をなくし(アルバムを1曲として成り立たせ)時代に抗いました。そんなアルバムに対する大きな愛情がここでも注がれていたのです。
個々では地味なトラック群ですが、このアルバムの中ではずっとそこにいたかのように適材適所に収録されています。それぞれが寄り添うかのようにアルバムフォーマットに収められ、曲一つ一つが持つ美しさが光り輝いており、アルバムを構成するに必要不可欠な要素として結実している。「HitnRun Phase One」がストロングファンクアルバムであったのに対し、本作はオールドスクールなソウルアルバムとして愛らしく輝いている。流れを持ったアルバムとはかくあるべき、という殿下の想いを感じ取り、心の底から感動しました。
思えば、膨大なお蔵入りトラックをアルバムに忍ばせ、新しい光を与える技は殿下にとってお手の物。ここでもその手法が生きているのです。こういう作品をCDで、いや、アナログで売ってくれればいいものを。
Tracklisting
01. Baltimore
02. RocknRoll Love Affair
03. 2 Y. 2 D.
04. Look at Me, Look at U
05. Stare
06. Xtraloveable
07. Groovy Potential
08. When She Comes
09. Screwdriver
10. Black Muse
11. Revelation
12. Big City
2015年12月3日木曜日
Hitnrun Phase One : Prince
ようやく本作を聴くことができました。Tidal のみでのリリースかと心配していましたが、今こうしてCDを手にすることが出来て一安心。でもこうやって見ると安っぽいジャケットだなぁ。「Art Official Age」(過去レビュー)を「Baltimore」(過去レビュー)化したのは一目瞭然だけど、もうちょっと工夫してもいいんじゃないのー!
で、内容的には超傑作とまではいかないまでも、ファンカーの純粋なDNAを引き継いだストロングファンクアルバム。「For You」〜「1999」〜「Purple Rain」の出だしをサンプリングしたイントロでテンションが上りますが、Judith Hill をフィーチャーしたキュートでポップなR&Bチューンでスタート。この Judith Hill 嬢は故マイケル・ジャクソンとプリンスの両人から認められたシンガーで、母親が日本人であることから日本語も話せることでも有名。プリンスサイドの暴走(レーベルに許可無く無料配信!)により延期されていたデビューアルバムがようやくリリースされた模様。
以降は超重量級スーパーファンクの連打でリスナーの腰を砕けさせ、「This Could B Us」、「Fallinlove2nite」、「Hardrocklover」といった既発曲を間に差し込み数珠つなぎ。「Fallinlove2nite」はシングルでは Zooey Deschanel をフィーチャーしていましたが、アルバムではカミーユ声を使って女性化。ディスコティークな風情がキュートです。Lianne La HavasやRita Ora、Curly Fryzといった新進女性シンガーもフィーチャーしてプロデューサーぶりを遺憾なく発揮。
全体的にコンパクトにまとめられ、収録時間は40分に満たない。こちらとしては消化不良気味というか、イントロで期待を煽られたので肩透かし。曲間無しのシームレス仕様にしているのは往年を彷彿とさせますが、80年代作品のようなストーリー性がないのは残念。殿下にしてみりゃ「取りあえず出しておくか」的スタンスなんでしょう。タイトルもツアー名に冠されている「Hit and Run」だし、しかもPhase Oneなんだから似たようなアルバムを今後も出すつもりだろうし。それよりも Tidal 限定配信されている NPGMC 作品を物理リリースしてくれよなー!
2015年10月19日月曜日
FREE URSELF : Prince
Tidalから先行リリースされた「Hitnrun Phase One」が無事CDリリースとなったものの、手元にはまだ届いていません。HMVのしたたかな「3枚まとめて買うと35%オフ」戦略に乗っかったためです。未リリース作品と一緒に買うと、それが出るまで届かない。僕の場合、手元に届くのは11/20頃になりそうです。
で、世間(のほんの一部分)は「Hitnrun Phase One」で賑わっているというのに、早くも新シングルがリリースされました。これは「Hitnrun Phase One」には収録されず、TidalおよびiTunesのみのリリースとなっています。3rdeyegirlをフィーチャーしているバンドサウンドで、ぶりぶりしたベースとごついドラムが特徴的。その上を頼りなく漂う、80年代初期みたいにチープなシンセ音がキュート&ラブリー。曲そのものは解放感のあるもので、後半になるとマイナーへ転調してこれまた80年代感覚が抜群です。
2015年10月13日火曜日
プリンス論 : 西寺郷太
プリンスを論じた本や研究本は数多く有れど、それは全て外国人著者によるもの。日本人が書いたプリンス本は存在しなかったんですが、書いたところでどれだけ売れるのか?という懸念があるのも事実。そんな小さなマーケットを相手にした、音楽家であり作家である 西寺郷太 氏と新潮社の聖断には恐れ入る。何よりも帯の背にある
ド助平にして崇高
という、殿下を的確に表した一文がとにかく素晴らしい。そもそもプリンスを論じる本を書くのはいいとしても、長いキャリアと膨大な作品数を誇るアーティストを新書で論じきれるのか?と勘ぐっていました。結論から言えば「心から感動した」。殿下マニアの聖典である「プリンス大百科」などの情報を巧みに引用しつつ、ミュージシャンならではの視点で分析する部分は実に興味深い。
著者と僕はほぼ同年代(僕の方が4歳上)で、「パープルレイン」(過去レビュー)に始まる殿下歴や各作品に対する思い入れもほぼ一致。著者は初めて殿下を目の当たりにした時
めっちゃくちゃ気持ち悪い
と感じたそうだが、思いは完全に一致。気持ち悪いにもかかわらず、何故か「パープルレイン」を買ってしまう。お金のないティーンエイジャーは繰り返し繰り返しその作品を聴く。そしてじわじわと、ショートケーキに乗ったミョウガや納豆の虜になっていったのだ。またファンの間では有名な「We Are The World」への不参加については驚愕の考察を巡らせている。
プリンスは、背が低い
ライオネル・リッチーへのインタビューで得られた証言を元にした推察には衝撃を受けた。そして、これはかなり的を得ていると確信した。詳しいくだりは是非本を読んで欲しい。主だったエピソードはファンの間では周知の事実なので新発見はそれ程なかったが、BPMや曲の収録時間によって作品分析するあたりはさすがミュージシャンだと思う。
84年に「ビートに抱かれて」、86年に「KISS」の両曲を全米No.1に送り込むが、この両方がベースレスという特殊状況を指摘しているのもさすがとしか言いようが無い。また「パレード」(過去レビュー)を「あらゆるジャンルの檻に閉じ込められて苦しんでいた音符やリズムたち(中略)が愛に満ちた口づけを交わしている」という名文には涙が零れそうに。
殿下へのささやかな感謝状、だなんて前書きに書いてあったけど、これはプリンスに宛てた熱烈な公開ラブレターだ。プリンスへの敬意と愛情が全編から迸っている。日本における殿下マニアは長い間虐げられてきたが、同じような原体験と愛情を持っている人も多くいるんだ。これが分かっただけでも本著は一読の価値がある。
2015年9月19日土曜日
Aftershow at Het Paard Van Troje, the Hague, Rotterdam, August 18th 1988 : Prince
「This Could B Us」(過去レビュー)を amazon で買った時に見つけたブツ。基本的にブートは購入しない主義なんですが、amazon で(しかもデジタルミュージックストアで)売られているのが気になって思わずポチリ。全12曲で100min.を超えながら900円(クーポン使って750円)という破格の安さ。かつての西新宿で数千円で売られていたようないかがわしいブツを amazon が売っていいのかよ~。リマスタリングされているようで、ブートとは思えないほどの高音質でした。
タイトルから分かる通り、内容は1988年に行われた Lovesexy ツアーの際、オランダはロッテルダムで行われたアフターショウを録音したもの。 午前3:00から始まり、300人の観客を集めたそう。オリジナル曲は勿論のこと、ブルーススタンダードの「Down Home Blues」やThe Temptations、The Staple Singers、James Brown のカバーも演奏されているのはアフターショウならでは。ジャム演奏がてんこ盛りながらも緊張感があるのは、厳しいバンドマスター Prince ならではと言えるでしょう。
Tracklist
01 Instrumental
02 D.M.S.R.
03 Just My Imagination
04 People Without
05 Housequake
06 Down Home Blues
07 Cold Sweat
08 Forever In My Life
09 Still Would Stand All Time
10 I'll Take You There
11 It's Gonna Be a Beautiful Night
12 Rave Un2 The Joy Fantastic
2015年9月1日火曜日
This Could B Us : Prince
This Could B Us : Prince
Apple Music を始めとする定額制音楽ストリーミングサービスが熱いんですが、アーティストへの配分が少ないことが取り沙汰されています。しかも複数のサービスが乱立している中、ユーザとしてもどこを選べばいいのか分からない。取りあえずは様子見というところでしょう。
そんな中で、 殿下の新アルバム「HITNRUN」が Jay Z の主宰する Tidal 限定でリリースされることになりました。そもそも Tidal は日本でサービスインしていないので、僕らは聴くことができない!配信もしくは物理リリースを待つしかなさそうです。
そこへ先行シングル「This Could B Us」がいきなり配信リリースされました。例によって例の如く予測不可能な動きをする殿下ですが、この曲は「Art Official Age」(過去レビュー)に収録されていた曲をリミックスしたもの。ネットでちょこちょこ情報を拾ってみると、the Minneapolis Star-Tribune が「パープルレイン時代におけるアポロニアとの写真(ジャケットに使われているイタいやつ)に触発された曲」と報じていました。ん?過去のイタい写真にインスパイアされるって何だか変だぞ…。他のサイトを調べてみると、面白いことが分かってきました。
「this could be us」というインターネット meme に関する記事がありました。meme って?メメって?ミームと発音するらしんですが、インターネットミームとは、ものすごーく簡単に言うとネット上の小ネタのこと。
では「this could be us」とは?twitter へハッシュタグ「#thiscouldbeus」を付けて、カップルの過去のイタい写真を投稿するのが米国でかなり前から流行っていた模様。「(マジな顔して)これは僕たちに違いないよね。でも君は遊びなんだね。」とシニカルにつぶやくらしいんですが、英語圏じゃない人にはうけづらいよね。
では「this could be us」とは?twitter へハッシュタグ「#thiscouldbeus」を付けて、カップルの過去のイタい写真を投稿するのが米国でかなり前から流行っていた模様。「(マジな顔して)これは僕たちに違いないよね。でも君は遊びなんだね。」とシニカルにつぶやくらしいんですが、英語圏じゃない人にはうけづらいよね。
殿下はこのミーム(或いはこのミームに乗じて流れてきた自分のイタい写真)に触発された、というのが正しい理解のようです。The Washington Post のネットカルチャー記事に詳しいことが書かれているので、興味のある方は読んでみて下さい(どうでもいいことなんだが)。
さて本題。
さて本題。
新曲ジャケットに自分のイタい写真を使うという大人っぷりですが、曲自体はアイロニカルでも何でもなく、極めてシリアスな出来になっています。オリジナルが愛らしいメロウ&スロウファンクであるのに対して、今回のバージョンはダークな雰囲気を湛えたエレクトロ&ストロングファンク。メロディは同じものの、同じ曲とは思えないほど質感が異なっています。これはリミックスというよりも、リメイク(もしくはリロード)と言った方がいいかも。殿下の悶絶ギターソロも聴ける、重量級ファンクチューンです。
2015年7月15日水曜日
HARDROCKLOVER : Prince
HARDROCKLOVER : Prince
突如として(というか、いつもの行動パターンで)新曲を配信したP殿下。4分足らずの曲なのに、1時間の通勤時間をひたすらリピート聴きしてしまうほど素晴らしい出来(ジャケットも素晴らしい)。
静謐なイントロと呟きのようなボーカルに導かれ、ブーストされたベースと楔のように打ち込まれるドラム。やがて暴発した銃のように叫ばれる雄叫びと、野獣の性器のように猛々しく悶絶するギター。静と動が同居しつつ徐々にビルドアップし、ロールしまくるcrazysexycoolなギターと、狂おしく叫びまくるP殿下のボーカルのせめぎ合いが凄すぎる。曲の転調なんて無いのに、こんなに目まぐるしい感覚は何なのだ?
「ここでこんな音使いをするかー!」だとか「この叫び方が股間にくる!」だとか「ぐりんぐりんなギターがエロい!」だとか、P殿下マニアの勘所を全て押さえまくっている。おそらくは殆どの殿下マニアが悶絶しまくっているんじゃないか?新たなる名曲の予感!
2015年5月31日日曜日
Baltimore : Prince(feat. Eryn Allen Kane)
今年4月、米国ボルティモアで黒人男性が警官に身柄を拘束された後、脊椎損傷で死亡するという事件がありました。これを受けて地元で暴動が発生したことがメディアを賑わせています。この他にも丸腰の黒人青年が警官に射殺される事件など、単純に人種差別という理由だけでは片づけられない事件が頻発。僕の古い記憶を辿れば92年ロス暴動に行きつきます。あれから、僕ら日本人から窺い知ることのできない根深い問題は解決していないということなのでしょう。
この暴動の後にプリンスが当ボルティモアで「Rally 4 Peace」というライヴを敢行し(アクション速いな!)、死者を悼むとともに平和を願って新曲「Baltimore」を公開しました。そして 5/28 には iTunes からマスタリング最適化され、オーケストレーションもフィーチャーされた正式音源がされました。フィーチャーされているのは Eryn Allen Kane という新人で、新しい才能への目配せも怠っていません。過去に犠牲となった Michael Brown や Freddie Gray の名前が出てくるプロテストソングの体ながら、からりと明るいソウルチューンになっているのが素晴らしい。「泣き叫んだり 人が死んだりなんて うんざりだ 銃を捨てちまおう」という歌詞とは裏腹に、バンドアンサンブルやコーラスワークが美しい楽曲に仕上がっています。
2014年10月30日木曜日
Plectrumelectrum : Prince & 3rdeyegirl
稀代のファンカーというだけでなく、過小評価されすぎな当代随一のギタリストである我等が殿下ことプリンス。そんなプリンスがギタリストとしての手腕を遺憾なく発揮しているのが「Art Official Age」(過去レビュー
)と同時リリースされた本作。当ブログでもこれまで数回取り上げてきましたが、連名となっているのが殿下プロデュースの3ピースのガールズバンド 3rdeyegirl。プロデューサーとしての一流の手腕も発揮しまくりです。「Art Official Age」がファンクな側面を持っているのに対し、本作はロッキンな側面を披露。相変わらず素晴らしいのが、(これも何度も言ってるが)股間で弾いているとしか思えないエロティックでぐりんぐりんなギター。
ジミ・ヘンドリックスがギターを燃やし、ピート・タウンゼントがギターを叩き壊すのに対し、プリンスは相変わらずギターを男根に見たてて、黒々と脈打っているプレイを屹立させています。しかもバンドアンサンブルも極めて素晴らしく、重心を低く保って超絶グルーヴを如何なく発揮。前情報がなかったらガールズバンドとは思えないほどの重たいプレイを披露しています。さらに注目すべき点として、「Art Official Age」と本作の両方に「Funknroll」が収録されており、前者にはどファンクバージョンが、後者にはより自由度の高いインプロヴィゼーション的なバージョンが収録されていること。「Art Official Age」でファンク、「Plectrumelectrum」でロックンロールという「Funknroll」こそ今の殿下のモードなのね。
2014年10月22日水曜日
Art Official Age : Prince
ジェームス・ブラウンをして「奴はファンクを知っている」と言わしめる稀代のファンカーである我等が殿下ことプリンス。「20Ten」(過去レビュー)以来、4年ぶりとなる新作をようやくリリースしました。元々リリースのインターバルが非常に短いプリンスとしては、4年間のブランクは驚異的な長さ。もちろんその間に何もしていなかった訳ではなく、精力的にツアーをこなし、デジタル配信でトラックを乱発していたのは周知の事実。しかも3ピースのガールズバンド 3rdeyegirl のデビューアルバムである「PLECTRUMELECTRUM」と同時リリースという快挙。その上、20年にも渡って確執関係にあった因縁のワーナーからリリースという超弩級の衝撃。ジャケットは相変わらずのセンスを感じさせる凄まじさ(笑)。
既発曲である「Breakdown」、「Breakfast Can Wait」 、「Funknroll」 が散りばめられていることから散漫な印象になりはしないか?という懸念は杞憂に終わりました。突如としてEDMで始まったのは驚いたんだけど、それ以降の怒涛の流れは紛うことなきミネアポリスの香り。初期に見られたクールファンク有り、粘着質全開のど-ファンク有り、メロウでスイートな王道バラード有り、と多様な側面を魅せながらアルバムとしての統一感がみっちりと貫かれています。しかもかつての密室感覚と引き換えに、全てから解き放たれたような感覚に溢れている。若かりし頃の気負いは全くなく、開き直りとも言える姿勢が真の夜明けをもたらしています。とうとう無我の境地に達したのか!
2014年5月10日土曜日
Pretzelbodylogic : Prince & 3rdeyegirl
今年1月にティーザー公開され、2月に新曲としてリリースされた「PRETZELBODYLOGIC」はプリンスと 3rdeyegirl の共同名義となっており、今年リリースされる「PLECTRUMELECTRUM」の方向性を占う最適材料となっています。重心の低いファンキーなロックンロールチューンは新たな夜明けの到来となるのか?これまで単発でシングルを連発している殿下ですが、それぞれの楽曲に統一感は無し。これらをまるっとアルバムにまとめてしまうのは作風的に無理がありそうなので、アルバムには全く新しいトラック群が収録される予感がします。括目して待て!
2014年4月22日火曜日
FALLiNLOVE2NITE : Prince feat. Zooey Deschanel
殿下ファンにとって驚愕のニュースが飛び込んできました。18年もの長年に渡り決裂状態にあったプリンスとワーナー、遂に再契約となったようです。蜜月期はワーナー取締役でもあった殿下ですが、権利関係によりパートナーシップは破綻。旧作の原盤権はワーナーが保持したままでしたが、今回の契約によって原盤権はプリンスが手に入れた模様。これにより、旧作の殿下主導リマスタリングが進むとのこと。直近では名作「Purple Rain」30周年記念盤が夏にリリースされるそうで、ここ最近の殿下関連で最良のニュースが届けられました。これは本当に嬉しい。
さてこいつは今年3月にリリースされたシングル。恐ろしいほどのペースでシングルを配信しまくっている殿下ですが、これら一連の作品は今年リリース予定の新作にガツッと収録されるのでしょうか。そんなせこいことはしない、気前のいい殿下でいて欲しいと願ってます。
んで、これは Zooey Deschanel をフィーチャーしたシングルですが、そもそも Zooey Deschanel とは誰か?殿下が大ファンであるコメディドラマ「New Girl / ダサかわ女子と三銃士」の主演女優なのです。このドラマが大好き過ぎて、ドラマ側に「俺を出演させろ」と直々に交渉した殿下。ドラマ側の快諾により殿下カメオ出演が実現したのです。これはその時に流された新曲です。
ハウスチューンに胸キュンな美メロが乗っていますが、普通の EDM には終わっていないのが素晴らしい。安っぽいハウスのリフが鳴ったと思いきや、ファンキーなホーンとディスコティークなベースライン、キーボードが炸裂。しかもオートチューンでいじった昨今のボーカルなんか目じゃない、30年前から先を行っている変調ボイス。どうやら殿下が再び時代を引き寄せるタイミングになったようです。
2013年12月9日月曜日
Groovy Potential : Prince
Groovy Potential : Prince
今年8月に 3rdEyeGirl からリリースされた新曲。印象的なピアノリフから始まり、新緑が薫るようなキャッチーなメロディ、メロウに吹き鳴らされるホーンセクションによって、殿下の中でも久々に爽やかなソウルチューンに仕上がっています。各パートが徐々にビルドアップされ、終盤に向かってグルーヴ感が増していき、最終局面ではいきなりの転調。なかなかの佳曲でした。
2013年12月7日土曜日
The Breakfast Experience : Prince
The Breakfast Experience : Prince
既にリリースされているシングル「Breakfast Can Wait」のリミックスEPが発売されています。3rd Eye Girl だけでなく、Amazon でもiTunes でも売られているんですが、曲によっていろんな販売チャネルを使う統一感の無さが殿下らしい(発言の一貫性も含めて)。
そもそもジャケットの人って誰?!って感じですが、Chappelle's Show という番組のホストを務める Dave Chappelle というコメディアンで、プリンスの物真似が得意なんだとか。気難しそうな殿下なのに、面白がってジャケットに使っているのが意外です。ちなみに「Breakfast Experience」とはペイズリーパークスタジオで行われたパジャマパーティのこと。正確には「The Breakfast Experience Pajama Dance Party」というライヴだったそうで。
さて、タイトル曲は 3rd Eye Girl が立ち上がったばかりの時にリリースされた楽曲(過去レビュー )。その後サイトがリニューアルされたのに伴い配信停止になっていましたが、夏頃になって何故か復活。ジャケットにも気合が入っていることから(笑)、かなり殿下のお気に入りトラックなんでしょう。
続いて、リミックス曲の中でも「Breakfast Can Wait (Espresso) 」だけはフロア志向のディスコチューンになっていますが、それ以外のリミックス曲はオリジナルと同じ路線。大改修リミックスというよりはマイナーチェンジを施された程度で、かつての「The Beautiful Experience」(過去レビュー )と似た雰囲気を感じます。
2013年12月5日木曜日
Something In The Water : 3rd Eye Girl
Something In The Water : 3rd Eye Girl
プリンスの傀儡バンド 3rd Eye Girl が新曲をリリースしています。ペイズリー・パーク・スタジオで行ったリハーサル音源で、オリジナルは名盤「1999」(過去レビュー)に収められています。82年当時でこのような曲を作ったこと自体、まず驚愕を禁じ得ません。リンドラムで構築されたシンプルなビートの上に、主だったメロディのない呟きのようなボーカルが展開されていく。ベースが排除されて、機械的なシンセ音がわずかながらの装飾になっている。プリンス風ミニマル=マシン=ファンクの極北とも言える作品です。
さて、バンドによるカバーはオリジナル作風とは全く異なり、ブルージーでジャジーでソウルフルな激渋チューンに変貌を遂げています。Sly & The Family Stoneのように途方もないファンキーベース、後半から繰り広げられる殿下のエロティックギターソロ。歌詞こそ同じなれど、メロディや演奏はまるで別の曲。オリジナルが非常に地味な存在ながら、こういった隠れた名曲に再スポットを当て蘇らせる。さすがの手腕としかいいようがありません。
2013年8月17日土曜日
Octopus Heart / Menstrual Cycle : Prince
Octopus Heart / Menstrual Cycle : Prince
自身の配信サイトだけでなく、とうとうSoundCloud進出を果たした殿下。2つの新曲「Octopus Heart 」、「Menstrual Cycle 」がフリーダウンロード可能となっています。ここまで来るとネットで何がやりたいのか分からなくなってきますが、当方凡人ゆえ天才を理解する必要もなし。粛々とダウンロード作業に励むのみです。そもそも「Menstrual Cycle」ってどういう意味?と調べたら「月経周期」とのこと。
_人人人人 _
>月経周期 <
 ̄^Y^Y^Y^ ̄
さすが殿下。
これらはインスト曲で、ギター、フェンダー・ローズ、ベース、ドラムの最小構成で成り立っている。特に「Menstrual Cycle」の前半では相変わらずセクセェなギターをばりばり弾きまくっているものの、10分にも及ぶ長尺曲はジャズファンクの香りがぷんぷんする。このあたりは「N.E.W.S」(過去レビュー )と共通感覚がある。ひょっとして一人で全パートを弾いているのかしら。「Octopus Heart」に至っては更に顕著で、エレクトリック・ジャズファンクとしか言いようがない。ロッキンチューンといい、プリンス極北ファンクといい、エレクトリック・ジャズファンクといい、多様な方向性を指し示している殿下。果たして新作はどうなるのか?
2013年8月13日火曜日
Extraloveable Reloaded : Prince
Extraloveable Reloaded : Prince
「Ain't Gonna Miss U When U're Gone」(過去レビュー )に続いて「Extraloveable」(過去レビュー )の再録バージョンもリリースされています。そもそも「Extraloveable」は80年代に制作された未発表曲であり、2011年になって唐突に再録リリースされた曲。それを更にリロード版としてリリースするからには、殿下としても余程この曲に愛着あるのでしょう。ちなみに音源としてリリースされていませんが「Let's go crazy」のReloadバージョン も存在する。どちらにも共通して言えるのが、オリジナルバージョンよりも重心が低くスロウに作られていること。故にオリジナルにはないグルーヴ感が満載となっている。「Extraloveable Reloaded」はオリジナルよりも更にホーンがフィーチャーされ、どファンキーなことこの上ない。殿下には是非ともこの辺りの路線を徹底追及してもらいたい。
2013年8月9日金曜日
Ain't Gonna Miss U When U're Gone : Prince
Ain't Gonna Miss U When U're Gone : Prince featuring Ledisi
殿下の配信サイト「3rd Eye Girl」から6月に新曲がリリースされています。フィーチャーされているのは最早ベテランの域に達しているシンガーLedisi。新作への足固めが着々と整っているようです。ただ意外に思ったのが、ここ最近リリースされている新曲はロックチューンが中心なのに、この新曲はプリンス極北ともいえるミニマルなファンクチューン。最近の作風とやや違っているのが気になるところ。いずれにしても、音数を削ぎ落したこのトラックが素晴らしいのは言うまでもない。よく耳を澄ませば、殿下キャリアピークの80年代中期~後期の香りが漂ってくる。ひょっとしてこれは元からあるトラックなんじゃないか?ベースラインやホーンは現代の感覚があるけど、ボーカルの変調具合やクラップ音、キーボードの音はBlack Album(過去レビュー)時代の香りがぷんぷんする。この雰囲気が新作に貫かれてばいいんだけどなぁ。
登録:
投稿 (Atom)
















