ロックミュージックのみならず、現代音楽やクラブミュージックといった多岐に渡る分野へ影響を及ぼし続ける巨匠 Brian Eno。80年代から連綿と続くキャリアを持ち、クラブミュージックやロックフィールドの第一線で活躍し続ける Underworld の Karl Hyde。マエストロにして賢者といえるこの二人がコラボレーションしたらどうなるのか?その答えは本作品で語られ、誰もが納得する答えになっていた。
20年も前から旧交を温め、お互いの作品でも交流関係にあった間柄。そんな二人が Eno のスタジオで音楽的実験を繰り返し、その結果として産み落とされたのが本作だ。Eno が山積みにしていた未完成トラックを Karl Hyde が受け止め、「これこそ自らのルーツ」とギタープレイを注入することで化学反応を起こさせる。いや、ここで聴けるトラックは化学反応というよりも、当然の帰結とも言える内容なのだ。内なる情熱を静かに漂わせ、距離感を保ちながら音を紡ぎだす姿が見えるかのよう。
Eno が70年代にロキシー・ミュージックで実践したストレンジでグラムの香りが漂うロック、80年代にトーキング・ヘッズ等で実践したクールなポリリズム~アフロファンク、全キャリアにおいて貫かれている極めて高品位なサウンドプロダクション、Karl Hyde が元来持ち合わせている80年代の抒情性やニューウェーヴのよれ具合。それらが電子音や人力を超越した高次元で融合し、多幸感が溢れたボーカルアルバムになっている。全てのリスナーが納得し、当然の帰結と断言できるアルバム。だけどもこの二人でしか導くことのできない答え。時にはジャーマン・プログレッシヴ・ロックの香りさえ漂う本作は極めて美しい。
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