2013年11月12日火曜日
Kveikur : Sigur Ros
Kveikur : Sigur Ros
前作「Valtari」(過去レビュー)から僅か1年という短いインターバルでリリースされた新作。とは言ってもやっつけ仕事ではなく、彼らにとって非常に重要な意味を持つ作品になっている。キーボード担当のキャータン・スヴェインソン脱退後の、3人体制となった新しいスタート後の作品なのだ。
また、リリースの2年前から制作していたというから「Valtari」と双生児的な作品かと思いきや作風が全く違う。前作が賛美歌のように厳かで美しく繊細であったのに対して、今回はインダストリアルの要素やマシンビートが取り込まれている。スピーカーの音を大きくしてたこともあって、一番最初に聴こえた音がノイズのような荒々しい重低音で本当に驚いた。
全編通してヘヴィな作りになっており、これまでにないほど攻撃力がある。アンビエント感覚が控えめになっていることもあり、ポストロック的な浮遊感がやや減退。その代わりに音の輪郭がクリアになっており、音圧も強くなっている。
メンバー脱退後のヘヴィな作品、と言っても悲壮感が漂っている訳じゃない。ヨンシーの神々しい歌声、彼らが元々持ち合わせている美しいメロディも健在だ。それどころか新たなる決意を表明しているようにも、希望を携えて前を向いているようにも、新しいスタートに興奮しているようにも思える。まさしく新章の幕開けを感じさせる、彼らがロックバンドであることを再認識させてくれる傑作だ。
2012年10月11日木曜日
Valtari : Sigur Ros
Valtari : Sigur Ros
「残響」(過去レビュー)から4年も経ちました。でもその間にJonsiのソロ活動が活発だったり、ライヴ盤(過去レビュー)をリリースしたこともありご無沙汰感はそれほどない。何はともあれ、孤高の存在である彼らの新作をこうやって聴けるのは嬉しい。
「残響」でファンを驚かせた開放感は控えめで、初期作品に顕著だったアンビエント感覚が揺り戻されている。とは言えども、「()」(過去レビュー)や「Agatis Byrjun」(過去レビュー)が持ち合わせた、聴き手の不安を駆り立てるような凍てついた感覚は全くない。遠くから厳かに聴こえてくる賛美歌のように美しく、ジャケットアートワーク(Jonsiの姉妹たちであるLiljaとIngaによるもの)に写っている大海のように穏やかで、どこまでも続いていく空のように壮大な音の群れ。これまでの作品にないほど優しく、荘厳で、繊細さに満ち溢れています。
どのようなシチュエーションであれリピートに耐えうる内容なのは、これまでに無いほどアンビエントでミニマルな感覚を持っているからなんでしょう。「圧倒的な力で制圧する」という意味を持つタイトルに偽りなし。静かに心へ浸透していくこの音楽は、紛れもなく圧倒的な力を持ちあわせており、リスナーの魂を制圧していきます。
2012年2月10日金曜日
Saeglopur : Sigur Ros
前の記事(過去の記事)で書いたSigur RosのライヴDVDで、彼らの映像作品を観たのは久しぶり。で、そういや彼らの小品ながら佳作の映像作品集があったな、と本作を見返したわけです。
Saeglopur : Sigur Ros
名作「Takk...」(過去レビュー)からのEPですが、タイトル曲以外は全てアルバム未収録曲。それ以上にこの作品の価値を高めているのが3つのPVを収めたDVD。この記事を書いていて驚いたんですが、前に安価で入手した本作がamazonで極めて高値で取引されていました。ただ残念ながら、輸入盤はリージョンコードが設定されているため、視聴するにはリージョンフリープレイヤーやPCが必要。YouTubeでも観れるし、タイトル曲以外の「Hoppipolla」と「Glosoli」の映像をCD-EXTRAとして収録した日本盤もリリースされているので、気になる人はこちらを入手する方がいいでしょう。内容としては観てもらうのが一番早いと思うんだけど、痩せぎすの少年が水中でもがき泳ぎ続ける映像や、子供のようにいたずらをしたり喧嘩をしたりする老人たち、荒野を彷徨する少年少女たち、といった想像力を喚起し続ける素晴らしい映像群。Sigur Rosが持つ、郷愁を誘うような、胸をやたらと刹那的に痛くさせるような世界観を補完して余りあるものとなっています。中でも注目して欲しいのが「Hoppipolla」の1:18あたりや1:28あたり。赤い服を着ている店員ってJonsiだよね?
Saeglopur : Sigur Ros
名作「Takk...」(過去レビュー)からのEPですが、タイトル曲以外は全てアルバム未収録曲。それ以上にこの作品の価値を高めているのが3つのPVを収めたDVD。この記事を書いていて驚いたんですが、前に安価で入手した本作がamazonで極めて高値で取引されていました。ただ残念ながら、輸入盤はリージョンコードが設定されているため、視聴するにはリージョンフリープレイヤーやPCが必要。YouTubeでも観れるし、タイトル曲以外の「Hoppipolla」と「Glosoli」の映像をCD-EXTRAとして収録した日本盤もリリースされているので、気になる人はこちらを入手する方がいいでしょう。内容としては観てもらうのが一番早いと思うんだけど、痩せぎすの少年が水中でもがき泳ぎ続ける映像や、子供のようにいたずらをしたり喧嘩をしたりする老人たち、荒野を彷徨する少年少女たち、といった想像力を喚起し続ける素晴らしい映像群。Sigur Rosが持つ、郷愁を誘うような、胸をやたらと刹那的に痛くさせるような世界観を補完して余りあるものとなっています。中でも注目して欲しいのが「Hoppipolla」の1:18あたりや1:28あたり。赤い服を着ている店員ってJonsiだよね?
2012年2月6日月曜日
Inni : Sigur Ros
Inni : Sigur Ros
ここ最近はフロントマンJonsiのソロ活動がもっぱら目立つSigur Ros。そんな活動休止中の彼らが「残響」(過去レビュー)をリリースして早3年が経ちまして、「残響」に伴うツアーのライヴ盤が去年リリースされました。CD2枚組、DVD1枚というボリューム故、当初は音源のみを通勤がてら聴いていました。「残響」に顕著だった躍動感というか開放感が如実に感じられる素晴らしい演奏ですが、本来の彼らが持っている凍てついて神々しいノイズ音も共生。CD2枚分というライヴ音源を十分堪能した後、家でライヴ映像を観たのですが…これまた堪能方法を確実に誤ったと後悔。
スピーカーを破壊せんとばかりにつんざくフィードバックノイズに甘美なメロディ。その静謐さと荒々しさを包み込むモノクロームで粗い映像に、本気で仰け反った。単なるライヴ映像かと思いきや、彼ら独自の美学を貫くミニマルな映像に、堂々たる5.1chサラウンド。全身を包み込む叙情的なノイズの嵐の前では声を失います。CD以上に映像はこんなにも凄まじいものだったのか…。サラウンド環境を持っていない人は、友達なりにその環境を借りて爆音体験キメて頂きたい。どんなに苦情がこようとも、全身に鳥肌を泡立たせる爆発的ホワイトノイズに身を委ねて頂きたい。ライヴドキュメンタリー「Heima」(過去レビュー)が温もりのある映像に対し、ここで体験できるのはどこまでも凍えた演奏。激マストなライヴ映像です。
2012年2月2日木曜日
We Bought a Zoo
We Bought a Zoo
「あの頃ペニー・レインと」で知られるキャメロン・クロウ監督。もともとがローリング・ストーン誌の記者だったこともあり、ロック業界にはかなり通じているそうです。その監督作品の「We Bought a Zoo」が去年の暮れに全米公開されました。出演するはマット・デイモンとスカーレット・ヨハンソンだと言うからかなり豪華。更にはサントラ担当として抜擢されたのがSigur RosフロントマンのJonsi。Sigur Rosのライヴドキュメンタリー「Heima」(過去レビュー)からインスパイアされてこの映画を作ったそうなので、音と映像の相性の良さは折り紙つきなのかも知れません。
さて、ここに収録されているSigur Ros/Jonsiのトラックは殆どが既発曲ながら、新曲が2曲含まれているのが注目すべきところ。サントラという体裁を取っていながら、その完成度は極めて高く、もはやJonsiオリジナル作品と言ってもいいぐらい。かつてのSigur Ros作品のような凍てついた感覚は皆無で、逆にハートを温かくするようなピースフルな雰囲気が充満。魂の賛美歌とでも言い切ってしまいたいような、荘厳で優しいポジティヴィティに彩られています。サントラを聴いて、ここまで映画に対する期待値が高まってしまうのも珍しいかも。
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