ミニマルテクノの頂点に君臨し続ける男 Richie Hawtin の別名義 Plastikman。その新作が前作「Closer」(過去レビュー)以来なんと11年ぶりにリリースされました。これは2013年11月にNYのグッゲンハイム美術館で行われたクリスチャンディオールのイベント用に制作された音源であり、かつ現場でライヴ収録されたもの。過去の作風を見事に踏襲しながら、未来志向の作風へと進化を遂げています。
Richie Hawtin と言えばディープかつヒプノティックな現代ミニマルテクノを作り続けるだけでなく、卓越したDJスキルによってミニマルテクノの在り方さえ変えてしまった男。つまり「Decks, EFX & 909」(過去レビュー)や「DE9: Closer to the Edit」(過去レビュー)といったDJミックスの名作を経て、遂に到達した「De9: Transitions」(過去レビュー)であらゆる音源を素材レベルまで解体~再構築することでミニマルを再定義した男。そこで得た手法や方法論を遺憾なく発揮し、ダークサイドの反復性における快楽を追求し続けています。
テクノロジーの進化によって、ソフトウェアがTR-909やTB-303といった専用ハードウェアよりも本物らしいと言われるようになり久しいんですが、本作でもソフトウェアテクノロジーの可能性が最大限まで引き出されているようです。アシッド音はこれまで聴いたことがないぐらいにブリーピーに鳴り響き、ベースラインは重たく可変的に地を這っています。気がつくと延々と猿のようにリピートしている自分がいるほどの劇薬です。
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