熱心な環境保護活動家として知られる俺たちのデカことレオナルド・ディカプリオ。そんな彼が気候変動の影響を追うドキュメンタリー映画が「地球が壊れる前に」です。製作総指揮は巨匠マーティン・スコセッシで、ナショナルジオグラフィックから配給されました。それにしてもこの邦題は何とかならないのかな。原題が「Before the Flood」だから気持ちは分かるんだけど、ボブ・ディランのライヴアルバム(『偉大なる復活』 - Before the Flood)にもかけているんじゃないの? ここで言及したいのがサントラを手掛ける面々。「ドラゴン・タトゥーの女」や「ゴーン・ガール」、「ソーシャル・ネットワーク」といった数々のサントラを手掛けた説明不要の二人 Trent Reznor and Atticus Ross。そしてMogwai(!)とアカデミー作曲賞を受賞しているミュージシャン Gustavo Santaolalla という実に豪華な組み合わせ。静謐で耽美的で物悲しく、ポストロックとエレクトロニカの世界を完全内包している。僕の大好きな監督・俳優・ミュージシャンが揃っているので、この映画は見ないとダメだなぁ。
TROPICAL LOVE : 電気グルーヴ 2017/3リリース以降、ひたすら聴いている4年ぶりの本作ですが、未だに違和感を覚えている。というか腹に落ちてこない。本人たちが「最高傑作」と評しているのに対して、個人的に最高傑作だと思っている「VOXXX」を越えていないと思っているからかな。確かに聴き始めの頃は「J-POP以来の衝撃だ!」と思ったんだけど、聴き続けるにつれて衝撃が薄れていくのを感じたというか。 「VOXXX」や「J-POP」に見られる連続性や、塊としてのアルバムのアタック感はあるんですよ。でも何だろう、毒気がない、狂気がない、お金がない。その代わりに、先行シングルとしてリリースされていた「Fallin' Down (Album Mix)」から綿々と連なっていく流れの多幸感は素晴らしい。ああ、これって卓球のピエール瀧に対する愛情がピークに達しているから、「最高傑作」と言ってるのかな。 「人間大統領」を支えるKenKenのファンキーベースや、それ以降の曲でも顕著なマッシヴなキックは、明らかにEDMに異を唱えており、カウンターとしての機能を十分に果たしていると思う。特にタイトル曲なんかそう思う。でもやはり、クリーンになりすぎてる感は否めないヨネー。ああっ、限定盤に付属していた「お母さん、僕たち映画になったよ。」のライヴ映像はやはり最高ですよ。
人生山あり谷あり。当ブログを始めて11年以上経つが、4ヶ月以上もインターバルを置いてしまったのは初めてだ。「更新しないのか?」という問い合わせは一切なかったが(笑)、人生の谷間を彷徨っていたとだけ言っておこう。谷にいたからには、再び山を目指さなければならない。いや、頂上を超えるのですよ、Over The Topですよ、仏恥義理V(オーバートップ)ですよ!新たな二郎系の山を探して、川崎の小田栄に行ってきました。
Vulnicura Live : Bjork 2015年11月にラフ・トレードから限定リリースされた Bjorkの「Vulnicura」ライヴ盤。当然ながらその希少価値ゆえに瞬時ソールドアウト。その後 Amazon で販売告知されたものの、紆余曲折あり1曲減らして一般流通リリースされたのが2016年7月。ソロデビューして四半期が経とうとしているのに、未だ最先端で有り続け、世間の耳目を集めています。 本ライヴ盤の半数は「Vulnicura」の収録曲、残りは以前のアルバムから。以前の曲が何の違和感もなく溶け込んでいるのは、「Vulnicura」及び「Vulnicura Strings」をミックスしたArca や Chris Elms が関与しているからでしょう。有機的エレクトロニカの極北ともいえる、冷ややかで艶かしい音が増殖しています。オリジナルがやや内省的であったのに対し、本作では攻撃性やダイナミズムが感じられるのが素晴らしい。 Tracklist 01. Stonemilker (from Vulnicura) 02. Lionsong (from Vulnicura) 03. History of Touches (from Vulnicura) 04. Black Lake (from Vulnicura) 05. Family (from Vulnicura) 06. Notget (from Vulnicura) 07. Come to Me (from Debut) 08. Undo (from Vespertine) 09. I See Who You Are (from Volta) 10. All Neon Like (from Homogenic) 11. Quicksand (from Vulnicura) 12. Wanderlust (from Volta) 13. Mutual Core (from Biophilia) 14. Mouth Mantra (from Vulnicura)
昨年10月にリリースされた The Orb 最新作は「キャリア史上最もアンビエントな作品」と銘打たれている。タイトルから言って The KLF の大名作「Chill Out」やピンク・フロイドの「原子心母」に対する何らかの回答、もしくはオマージュと取るのは自明。メンバーの Thomas Fehlmann が 「21世紀なんだから、みんな座してチルアウトするのがいいぞ、破壊的行動を続ける前にな(It's the 21st century and it seems like a good idea for people to sit back and chill the fuck out, before continuing to act destructively.)」とプレスリリースで語っており、アンビエントというよりはチルアウト的作品であるのは間違いない。
耳を澄ませばウルトラワールド的ダブ音響処理がなされながらも、牧歌的で多幸感溢れるサウンドスケープが累々と連なっているじゃないか。まぎれもなく90年から続いているイビサ的空間がここで再現されており、かつ世界へ変革を促すような振動に満ちている。盟友である Killing Joke の Youth、およびアンビエント界の巨匠である Brian Eno の実弟である Roger Eno も参加しており、ここ最近のチルアウト作品の中でも出色の出来に仕上げている。