2012年12月4日火曜日

Until the Quiet Comes : Flying Lotus


Until the Quiet Comes : Flying Lotus

前作「Cosmogramma」(過去レビュー)で世界の度肝を抜いたFlying Lotus。2年ぶりにリリースされた新作は、前人未到の境地へと更なる一歩を踏み出した作品となっていました。

前作フィーチャーされたThom YorkeやThundercat
に加え、ネオソウルの女王であるErykah Baduも参加。ただし、ゲストミュージシャンはFlying Lotusが作り出す広大なる宇宙を構成するほんの一部に過ぎない。アフリカ系アメリカ人ミュージシャンが元々持ち合わせている宇宙志向~コズミック感覚を土台に持ちながら、エレクトロニカ~ジャズ~ファンク~ヒップホップといったありとあらゆるジャンルを再定義。しかもシームレスな全編に渡って繰り広げられる音楽絵巻は、どこにも所属しない高次元へと到達しています。

複雑に組み合わされたビートはプログレッシヴ以外の何物でもなく、腐敗寸前の果実のような音はサイケデリアの光が眩い。その上、ミニマルな感覚が貫いているかと思えば、電子的に繰り広げられるフリージャズ的要素も満載。これはもう、Flying Lotusやその祖先たちが持ち合わせているDNAの新たなる結晶というしかない。本人が「神秘的事象、夢、眠り、子守唄のコラージュ」と表現している世界へ静かに身を委ねるのもよし、複雑に構築された世界に耳を研ぎ澄まされるのもよし、未知なる深遠な脳内世界へと旅立つのもよし。そこでリスナーが感じるのは、Flying Lotusが(静寂が訪れるまで)放射するエナジーだ。

0 件のコメント:

コメントを投稿