2017年6月8日木曜日
TROPICAL LOVE : 電気グルーヴ
TROPICAL LOVE : 電気グルーヴ
2017/3リリース以降、ひたすら聴いている4年ぶりの本作ですが、未だに違和感を覚えている。というか腹に落ちてこない。本人たちが「最高傑作」と評しているのに対して、個人的に最高傑作だと思っている「VOXXX」を越えていないと思っているからかな。確かに聴き始めの頃は「J-POP以来の衝撃だ!」と思ったんだけど、聴き続けるにつれて衝撃が薄れていくのを感じたというか。
「VOXXX」や「J-POP」に見られる連続性や、塊としてのアルバムのアタック感はあるんですよ。でも何だろう、毒気がない、狂気がない、お金がない。その代わりに、先行シングルとしてリリースされていた「Fallin' Down (Album Mix)」から綿々と連なっていく流れの多幸感は素晴らしい。ああ、これって卓球のピエール瀧に対する愛情がピークに達しているから、「最高傑作」と言ってるのかな。
「人間大統領」を支えるKenKenのファンキーベースや、それ以降の曲でも顕著なマッシヴなキックは、明らかにEDMに異を唱えており、カウンターとしての機能を十分に果たしていると思う。特にタイトル曲なんかそう思う。でもやはり、クリーンになりすぎてる感は否めないヨネー。ああっ、限定盤に付属していた「お母さん、僕たち映画になったよ。」のライヴ映像はやはり最高ですよ。
2016年6月26日日曜日
電気グルーヴ25周年記念ツアー「塗糞祭」
加齢臭漂うおじさん二人組が2014年にぶちまけた奇祭として知られる「塗糞祭」。この最終公演を収録した映像作品が極めて素晴らしい。観客がツアーグッズとして販売されていた塗糞刷毛を握りしめ、塗って塗って塗りまくっている狂乱状態が収録されています(ちなみに僕が購入した初回生産限定盤ではミニな塗糞刷毛が付属しており、自宅でとても重宝している)。
どうやらこの奇祭、おじさん二人のデビュー25周年を記念するツアーでもあったようで、ゆかりのあるゲストが矢継ぎ早に参加し、数々の歴代名曲を披露しています。
まずは初期メンバーのCMJKが登場し、今では演奏されることも極めて稀な「ビコーズ」、「マイアミ天国」、「Bingo!」で会場を温める。小島よしおネタで登場〜三瓶ネタで退場するというマニアな演出を散りばめた DJ Tasaka が後を引き継ぎ、クレイジーシットな「浪曲インベダー」、「ドリルキング社歌2001」を演奏する。そして Ki/oon Music 二大珍獣と言われたスチャダラパーが登場した時点で会場のボルテージは沸点に。そんな中、1,000円盗難疑惑に始まる ANI とピエール瀧の喧嘩が勃発したが、会場が固唾を呑むなかラップバトルで仲直り。心のベストテン第一位な「今夜はブギー・バック」で締めて、牛尾憲輔にボーカルを披露させるという無茶振りも。ただ、何故ここで「Twilight」じゃないのかは疑問が残るところ。
やがて「21世紀もモテたくて…」の演奏途中で「この公演だけのスペシャルゲスト」と前振りがあった鬼才 天久聖一 氏が登場。この公演直後にツイートされた画像(これとかこれ)でその出で立ちは予め分かっていたが、いざ目の当りにするとそのインパクトに驚愕する。本公演最大の見ものであるのは間違いなく、僕はこのシーンを抱腹絶倒しながら何度も何度も見返したよ。
次なるゲストは電気グルーヴ最大の貢献者ともいえる砂原良徳。「俺が畳だ! 殿様だ!」から始まるピエール瀧レパートリーを連打し、「ママケーキ」ではまさかのボーカルを披露し祝祭感に彩りを添える。
怒涛の終盤ではアップリフティングな名曲のシームレスプレイで、会場を興奮の坩堝へと陥れる。石野卓球自身のアンセムである「N.O.」は「無能の人」へと里帰りし、「電気ビリビリ」は「662 BPM BY DG」収録のオリジナルとしてプレイされる。もちろん大人の事情により、オリジナル歌詞であったところは聴き取れないようにエディットされている。それを差し引いても、おじさん25年の歴史を俯瞰するには間違いないクロージングチューンだ。彼ら歴代のライヴ映像の中でも屈指の名作であることも間違いない。
ちなみに相変わらずグダグダなMCは自主規制により、GO!皆川の「うんちょこちょこちょこ“ピー”」で伏せられまくっていることを申し添えておく。
Tracklisting
1. Opening
2. 電気グルーヴ25周年の歌(駅前で先に待っとるばい)
3. Mud Ebis
4. B.B.E.(Bull Beam Express)
5. Hi-Score
6. ザ・ケトルマン
7. ビコーズ
8. マイアミ天国
9. Bingo!
10. 浪曲インベダー
11. ドリルキング社歌2001
12. 聖☆おじさん
13. ANI vs 瀧
14 .瀧 vs ANI
15. 今夜はブギー・バック
16. 完璧に無くして
17. Flashback Disco
18. Baby's on Fire
19. 21世紀もモテたくて…
20. 俺が畳だ! 殿様だ!
21. ポパイポパイ
22. ちょうちょ
23. お正月
24. 富士山
25. ママケーキ
26. Shangri-La
27. モノノケダンス
28. Upside Down
29. Fake It !
30. スマイルレス スマイル
31. ジャンボタニシ
32. カメライフ
33. 無能の人
34. 電気ビリビリ
2016年2月13日土曜日
人間も動物 : 電気グルーヴ
映画「DENKI GROOVE THE MOVIE? -石野卓球とピエール瀧-」が異例のロングランヒットに終わり、3月にリリースされるは特典付きBDと、そしてなんと「電気グルーヴ25周年記念ツアー“塗糞祭”」のダブルリリース。「塗糞祭」には数多くの縁の人が出演したことでも知られるが、中でも天久聖一画伯の勇姿が見られるかと思うとゾクゾクしてくる。破産覚悟で2枚購入するつもりです。
このライヴは「ツアーパンダ2013」最終日2013/3/13に
Zepp DiverCityで収録されたものであり、観客はわずか3人(うち一人は瀧の奥さん)だったという曰くつきのライヴ。しかもピエール瀧が舞台から転落し、救急車で運ばれたものの死亡というアクシデントがあったライヴだ。
レオナルド犬プリオ(過去の記事)と見続けて思ったんだけど、前者が攻撃性が高かったのに対し、本作は非常に完成度が高いというか、大人の余裕すら感じさせるライヴに。特典映像で卓球が話していたけど、ライヴ用にアレンジを変える理由はハコに最適化するため、という話が興味深い。アルバム音源を流すと音数が多くなるので間引いたり、ハコの大きさによって低音量を決めたり。その匙加減が重要らしいです。
舞台には彼らの顔型立体スクリーンが添えつけられ、プロジェクション・マッピングで効果的に演出。この頃はStarFes. 2013 (過去の記事)で彼らを観ていたんだよなあと述懐。今こうしてみると女子率が非常に高いことにも気づく。アンコールで「電気ビリビリ」を終えた後、終演アナウンスで観客が帰ろうとしていた時に、まさかの「Cafe de 鬼(顔と科学)」で観客を呼び戻す。こういう柔軟性とエンターテイメント性が彼ららしい。副音声も相変わらず、人生に貢献しないどうでもいい内容がダラダラ。これぞ電気グルーヴの極北なり。
2016年1月2日土曜日
レオナルド犬プリオ : 電気グルーヴ
明けましておめでとうございます。ブログを引っ越してから1年経ち(過去の記事は中途半端に移行中)、そもそもブログを開設してから10年近く経ちました。貴方の人生の役に立たない当ブログを今後ともよろしくお願い申し上げます。
さて、年末に「DENKI GROOVE THE MOVIE? 」を観てきたんですが、25年間もよく続いていると改めて感嘆。ここまで息の長いユニットになるとは想像していなかったんですが、25年も聴き続けている僕自身にも驚く。今ではCDのライナーを老眼鏡抜きでは読めないおっさんになりました。観客を見渡しても年齢層が高い。デビュー当時のファン層は10〜20代だったけど、彼らと同時にファン層も中年になっていることに気づく。このまま行くと、老人たちが電気グルーヴを聴いている時代が来るんじゃないか?
で、映画を見終わってからライヴ映像が観たくなり、当DVDを完全放置していた自分に気づく。2009年に買ってから封を切ってなかったんだぜ!BDじゃなくてCDが付属する初回限定盤DVDを買ったにも関わらず、CDすら聴いていなかったんだぜ!(ちなみに「人間も動物」も放置プレイからの黄金プレイにて未開封)
2008年ツアー「叫び始まり 爆発終わり」のSHIBUYA AXでの模様が3時間にも渡り収録されており、タイミング的には「Yellow」がリリースされた直後。故 Kagami 氏がサポートメンバーを務めているを見て、映画の中でも言及されていたなあ…としみじみ。「ぶーやんのツアー同行日記」という特典映像では Kagami が美味しそうにマカロンを食べていて、この半年後には逝ってしまうんだよな…とか。今や電気グルーヴのサポートメンバーとして欠かせない agraph こと牛尾憲輔が、楽器担当の裏方として紹介されていたり。CMJKの姿もちらほら映っていたり。見どころてんこ盛りです。
電気グルーヴ(Denki Groove) - CATV & 誰だ! [LIVE] from Buddhakiss on Vimeo.
2015年12月28日月曜日
Cefe de 鬼
「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」よりも楽しみにしていた映画「DENKI GROOVE THE MOVIE? 」を観るために新宿まで行ってきました。横浜でも良かったんですが、新宿バルト9に期間限定で「Cafe de 鬼」がオープンというので新宿へ。11:30の回に間に合わせようとしたんだが寝坊、やむなく16:30の回へ前売り券を持って並んだところ「満員です」だと。高を括りすぎていたか!しばし呆然とし、Cafe de 鬼を徘徊するはめに。
「ついに電気グルーヴに死刑判決が下った!」の名場面の前でくつろぐお客さんたち。
常設カフェの貼り紙を替えただけじゃん、という野暮なツッコミはしないでおく。
マグカップやら限定グッズも売り切れていた模様。
二人が使ったユニフォームも。加齢臭がそこはかとなく漂ってくるのがいい。
「Cafe de 鬼(顔と科学)」のPVを垂れ流しているだけだが、これに喜んでいる人はキモオタか変な女だけ。横浜でリベンジしてやる!
「ついに電気グルーヴに死刑判決が下った!」の名場面の前でくつろぐお客さんたち。
常設カフェの貼り紙を替えただけじゃん、という野暮なツッコミはしないでおく。
マグカップやら限定グッズも売り切れていた模様。
二人が使ったユニフォームも。加齢臭がそこはかとなく漂ってくるのがいい。
「Cafe de 鬼(顔と科学)」のPVを垂れ流しているだけだが、これに喜んでいる人はキモオタか変な女だけ。横浜でリベンジしてやる!
2015年12月24日木曜日
DENKI GROOVE THE MOVIE? - THE MUSIC SELECTION -
「Fallin' Down」の付属DVDで唐突に発表されたトレーラーから10ヶ月、ようやく電気グルーヴのドキュメンタリー映画が公開されます。「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」(もう観たもんねー!)よりも待っていたのでマジ楽しみです。ご当地特典付き前売券もがっつりゲット。僕は住まいが神奈川なので「Dragon」のパッケージ。大好きなアルバムなので、これはかなり嬉しかった。観に行くのは「Cafe de 鬼」がオープンする新宿バルト9だけどね!
本ドキュメンタリーの監督はこれ以上ない人選であろう大根仁 氏。電気グルーヴ25年の映像記録をひたすら見続け、本作品を仕上げた大根監督の苦労は察するに余りある。おそらくこの世で一番、電気グルーヴ地獄を目撃した人に違いないだろう。で、本CDは映画に合わせてリリースされた、大根監督が選曲した音楽集。単なるベスト盤かと高を括ってましたが、これはもうオリジナルアルバムじゃないか!というぐらいに全面アップデートされています。
まずは、「25」に収録されていた「25 Raw Beats」は単なる予告編だったのか!という仕掛けに頭が下がる。更にはフジロック・ライヴ音源や野球ディスコ音源、アルバム未収録のバージョン違いがてんこ盛り。多数のリミックスバージョンが存在する「虹」においては(昔、レアものをチビチビ集めてた)初CD化となる「Live@Mayday Mix」が!「新幹線」はお初の Movie Edit が!「N.O.」は新録音源が!何よりも低音がマッシヴになって現在のモードに最適化され、初期の音源は全く古さを感じさせない出来に。作品全体がアシッドの香りに包まれており、音楽集じゃなくておっさん二人が全面関与した新作じゃん。軽く感動しました。
2015年3月16日月曜日
Fallin' Down : 電気グルーヴ
先月リリースされた電気グルーヴの新曲。ナゴムレコードの盟友であるケラリーノ・サンドロヴィッチが監督を務めるドラマ「怪奇恋愛作戦」のエンディングテーマになっているそうですが。何度聴いてもすとんと腹に落ちてこないのは、80'sテイスト満載エレクトロがいつも通りだからかなぁ。良くも悪くもなくて、新鮮味が全くない。カップリングされたジャッキンな「Baby's on Fire (((さらうんど))) Remix」や、音数をそぎ落とすことでトラックを再構築した「Baby's on Fire(Hoshina Anniversary Remix) 」の方がまだ聴き応えがある。
更には初回限定盤特典の塗糞祭DVDや、今夏上映されるであろう映画の予告編の方がはるかにグッとくる(しかも監督は大根仁!)。更には更にはレーベルが用意したtwitter企画が、卓球の「何コレ?寒過ぎ!絶対に参加しないで」の一声で中止になった件や、見ているだけで目が回ってくるPVの方がはるかにグッとくる。そういった諸々を含めたら、取りあえずまあいっか、となる。
2014年12月29日月曜日
25 : 電気グルーヴ
結成25周年を迎えた2014年、数多くのフェスやメディアに出演を果たし、自らのツアーであり奇祭である糞塗祭を成功裏に終わらせた電気グルーヴ。そんな彼らがリリースしたミニアルバムが素敵すぎます。30分程度の収録時間ながら、糞のように密度が高すぎます。この作品を当ブログ今年最後の記事として上げさせてもらうのは実に光栄です。
「モノノケダンス」(過去レビュー)を焼き直したかのようなエレクトロ「Baby's on Fire」で幕を開け、「電気グルーヴ20周年のうた」を更にハッテンさせた「電気グルーヴ25周年の歌(駅前で先に待っとるばい)(25 Mix)」でもはや絶頂寸前のイク5秒前。「20周年」の歌詞やPVは個人的にドツボだったんですが、「25周年」では個人的に糞壺レベルの仕上がりになっていると感じます。意味を成さないながら、相変わらず語感を大事にする歌詞だなあ…とぼんやり考えていたんですが、この作風が如実になったのはいつ頃からだったろう?と思い返せば、史上最汚の発明品だった「VOXXX」の頃からだったね母さん…。
「A.C.I.D.I.S.C.O.」では文字通りアシッドベースラインに、クラシックディスコのサンプリングが上モノに使われていますが、このサンプリングの元ネタは何だろう?「Shangri-La」(もしくは「Spring Rain」)のように聴こえなくもない(識者の方教えてください)。続く「Super Star (Re-boot)」は「J-POP」(過去レビュー)に収録された「スーパースター」をagraphがrebootさせたもので、フロアオリエンテッドで徐々にビルドアップしていく様が最高。「Pan! Pan! Pan!」は限定アナログ盤のB面に収録されている、60年代ロックンロールを下地にしたトラック。最後は1分にも満たないマッシヴなビートで締める。通して聴くと、全体の流れを上手く作り上げているなあと実感します。
2013年3月8日金曜日
人間と動物 : 電気グルーヴ
アラサー以上の世代なら分かると思うけど、CDが普及する前、アルバムはアナログ盤でリリースされていた(もちろん今も一部の作品はヴァイナルカットされている)。片面約23分、両面で約46分。リスナーは座して音楽を聴き、外で聴く場合は46分カセットテープにダビングし、ウォークマンやカーステレオ、ラジカセを活用した。今のように音楽が大量消費される時代とは違い、音楽に真摯に向き合う人が多かったと思う。…などと電気グルーヴの新譜を聴いて思った。
人間と動物 : 電気グルーヴ
全曲歌モノ、収録時間約50分、BPM 125前後、既発曲の「Upside Down」、「SHAMEFUL」、「Missing Beatz」を収録するという制約のもと作られた新作。正直言って全く期待していなかったんですが、一聴して思った感想が「すごいな」と。まさかここまで完成度が高かったとは。80年代ニューウェーヴとエレクトリックボディミュージックを基礎として、現代モードへ昇華させたような作品です。衝撃度で言えば「VOXXX」に分があるものの、完成度で言えばこれまでで最高レベルだと思います。歌詞はほとんど意味を成さなく、語感を大切にしている意味でも「VOXXX」に通じるものがあります。また、ミックスにはまりんが参加していることもあって、極めて高品位な音質で研ぎ澄まされまくっています。
前述のシングル曲は個別で聴くと「まとまり感」がないんですが、全編ほぼシームレス且つアルバムに最適化されており、曲順も選びに選び抜かれていると思えます。「Missing Beatz」から「SHAMEFUL」への繋ぎは何の違和感もなく、最後までスムーズに流れていく。これまでの作品の中で一番アシッド度合いが高く、「P」の中盤ではアシッド濃度が最高潮に。犬に噛まれて喉から血を出して死んでしまった、演歌歌手 瀧勝の「人生(Hardfloor Remix)」よりも、ある意味アシッド濃度が高い。
続く「Slow Motion」では、80年代をルーツに持つ二人の面目躍如というか、切なさとニューウェーヴ感覚に満ちた秀曲。「Prof. Radio」はまさしく80年代ハイエナジーを土台にした、アラフォー世代を直撃するアナログ感丸出しなトラック。幽玄でスペイシーな感覚を持ち、彼らにしか作れないような「Oyster(私は牡蠣になりたい)」を経て「電気グルーヴのSteppin' Stone」で締まる。
「Steppin' Stone」は電気グルーヴにしては珍しいカバー曲。60年代にビートルズの対抗馬としてアメリカで結成されたアイドルバンド「モンキーズ」の楽曲で、「Steppin' Stone」はThe Sex Pistolsのカバーの方が有名かもしれない。80年頃には「ザ・モンキーズ・ショー」という番組が日本で再放送されたこともあり、彼らがリバイバルヒットしたのを覚えています。一番有名なのが「Daydream Believer」で、忌野清志郎がタイマーズ時代の89年にカバーをしています。そう、かつて電気グルーヴは子門’z名義でRCサクセションの名曲「トランジスタ・ラジオ」(過去レビュー)をカバーしており、ここに関連性を感じる。ベースにSly Mongooseの笹沼位吉を迎えている辺りに滅茶苦茶センスとグルーヴ感を覚えます。
わずか約50分という収録時間に不安を感じていたんですが、この適度な長さがリスナーに飢餓感や中毒性を与える、という二人の目論見は見事に成功していました。なお、初回限定盤にはWIRE12(過去の記事)出演時のライヴDVDが付いているのは個人的にかなり嬉しい。
人間と動物 : 電気グルーヴ
全曲歌モノ、収録時間約50分、BPM 125前後、既発曲の「Upside Down」、「SHAMEFUL」、「Missing Beatz」を収録するという制約のもと作られた新作。正直言って全く期待していなかったんですが、一聴して思った感想が「すごいな」と。まさかここまで完成度が高かったとは。80年代ニューウェーヴとエレクトリックボディミュージックを基礎として、現代モードへ昇華させたような作品です。衝撃度で言えば「VOXXX」に分があるものの、完成度で言えばこれまでで最高レベルだと思います。歌詞はほとんど意味を成さなく、語感を大切にしている意味でも「VOXXX」に通じるものがあります。また、ミックスにはまりんが参加していることもあって、極めて高品位な音質で研ぎ澄まされまくっています。
前述のシングル曲は個別で聴くと「まとまり感」がないんですが、全編ほぼシームレス且つアルバムに最適化されており、曲順も選びに選び抜かれていると思えます。「Missing Beatz」から「SHAMEFUL」への繋ぎは何の違和感もなく、最後までスムーズに流れていく。これまでの作品の中で一番アシッド度合いが高く、「P」の中盤ではアシッド濃度が最高潮に。犬に噛まれて喉から血を出して死んでしまった、演歌歌手 瀧勝の「人生(Hardfloor Remix)」よりも、ある意味アシッド濃度が高い。
続く「Slow Motion」では、80年代をルーツに持つ二人の面目躍如というか、切なさとニューウェーヴ感覚に満ちた秀曲。「Prof. Radio」はまさしく80年代ハイエナジーを土台にした、アラフォー世代を直撃するアナログ感丸出しなトラック。幽玄でスペイシーな感覚を持ち、彼らにしか作れないような「Oyster(私は牡蠣になりたい)」を経て「電気グルーヴのSteppin' Stone」で締まる。
「Steppin' Stone」は電気グルーヴにしては珍しいカバー曲。60年代にビートルズの対抗馬としてアメリカで結成されたアイドルバンド「モンキーズ」の楽曲で、「Steppin' Stone」はThe Sex Pistolsのカバーの方が有名かもしれない。80年頃には「ザ・モンキーズ・ショー」という番組が日本で再放送されたこともあり、彼らがリバイバルヒットしたのを覚えています。一番有名なのが「Daydream Believer」で、忌野清志郎がタイマーズ時代の89年にカバーをしています。そう、かつて電気グルーヴは子門’z名義でRCサクセションの名曲「トランジスタ・ラジオ」(過去レビュー)をカバーしており、ここに関連性を感じる。ベースにSly Mongooseの笹沼位吉を迎えている辺りに滅茶苦茶センスとグルーヴ感を覚えます。
わずか約50分という収録時間に不安を感じていたんですが、この適度な長さがリスナーに飢餓感や中毒性を与える、という二人の目論見は見事に成功していました。なお、初回限定盤にはWIRE12(過去の記事)出演時のライヴDVDが付いているのは個人的にかなり嬉しい。
2013年1月21日月曜日
Missing Beatz : 電気グルーヴ
Missing Beatz : 電気グルーヴ
電気グルーヴが3年半ぶりにアルバム「人間と動物」をリリースするそうで、「20」からそんなに経ったのか!と驚いているところ。で、アルバムにはこれまでリリースされた「Upside Down」や「SHAMEFUL」が収録されるようです。で、今日書くのはこの間リリースされた先行シングル。
アラフォー世代に馴染みあるような、ニューウェーヴ感丸出しジャケットで既に盛り上がる。予想通り、耳に慣れ親しんだチープな電子音を多用しながら、現代へとアップデートさせたエレクトロを披露しています。とは言えシングルにするにはやや地味な印象がある。ただし個人的にはカップリングされている「富士山 (MAJIでFUNKAの5秒前Mix)」と「KNGN」に大満足。
「富士山 (MAJIでFUNKAの5秒前Mix)」はタイトルからしてツボなリミックスですが、ガバ的要素のあるキラートラックを更にハードコア/レイヴに仕上げたもの。大震災以降、富士山が噴火するんじゃないかとまことしやかに言われていますが、本当に噴火したらこの曲は放送禁止になるんだろうな、等と考えた。
「KNGN」はまさかのアンビエントなダブで、「N.O. (KEN ISHII REPRODUCTION) 」を思い出してしまったほど美しい。前情報なしにこのトラックを聴いたら、彼らの楽曲だって分からないんじゃないか?
それにしてもこのシングルや「Upside Down」、「SHAMEFUL」が同居するアルバムって統一感あるのかな…。
2012年4月22日日曜日
SHAMEFUL : 電気グルーヴ
SHAMEFUL : 電気グルーヴ
先日のStarFes.(過去の記事)で新曲を初披露した電気グルーヴ。しかもその直後、卓球氏が「ガムを噛むバイトしました。」と呟いたので何のことかとおもいきや、ロッテの新商品ガム「ZEUS」のCMに彼らが起用されたことが明らかに。4月には「Upside Down」(過去レビュー)以来、約2年半ぶりのシングルがリリースされました。ライヴではその攻撃性を垣間見ることができたんですが、今こうして聴くと初期の彼らに見られる破壊力が如実に現れています。これまで以上に重心が低く、初期のようにアシッドで、「Flash Papa」(過去レビュー)時代のトラックを現代にアップデートさせたようなアッパーチューン。カップリングされている「SHAME」もレイヴ復権のような仕上がりになっており、この2曲をリピートして聴き続けると無間地獄に陥ること間違いなし。今の彼らの本気度が伺える、一分の隙もない作品になっていました。田中秀幸によるPVも相変わらずのクオリティで素晴らしいです。
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