2015年4月1日水曜日

Berlin (Day 4 pt.2 - Day 5) - Berghain / Tresor -

前の記事で「頭の中にはアレしかない」だとか「アレを実現するべく」だなんて勿体ぶって書いたけど、そんなもん決まっているじゃないか。ドイツと言えば、ベルリンと言えば、テクノに決まっているじゃないか、クラブに決まっているじゃないか。夜中の営業中に行けなくてもいい、せめて安全な昼間に外観を拝むだけでもいい。っつーことで、ベルリン大聖堂の最寄駅「ハッケッシャー・マルクト(Hackescher Markt)」から電車(Sバーン)に乗りました。



まず巡礼すべきは、世界最高峰クラブにしてテクノの聖地である「Berghain(ベルクハイン)」。10分もしないで最寄駅「オストバーンホフ(Ostbahnhof)」に到着して撮り鉄になる。ちなみに駅には改札がないが、抜き打ちで検札があるのでキセルはダメ。切符を打刻機でパンチしてからそのまま乗るだけだから楽ちんです。




駅はきれいに整備されており、これまたドイツ的機能美を感じさせるんだけど、素っ気なさがあるのもやはりドイツ的。周辺には商業施設らしきものは全くない。ここから徒歩10分もしない場所に Berghain がある。この辺りを真夜中にうろうろしていたら、確かに怖いかもしれない。




地図を片手にとぼとぼ歩くが、殺風景な高層マンションが立ち並ぶのみ。人通りも少ない。それでも Google Maps のお陰で道に迷わずに済むのでテクノロジー万歳!(ジークハイル テヒノロジー!)と叫ぶ(心の中で)。駅を出てから北方向に向かい、2番目の角を右に曲がって300mほど進んだところに聖地があるはず。それにしてものどかだな~。




じゃーん。ついに聖地巡礼。古い発電所が改装されて巨大クラブへと変貌を遂げたベルクハイン様〜。事前情報ではかなり朽ちた外観だったんだが、ご覧の通りやぐらが組まれていて外装工事中だった。この日は金曜日ということもあるので、夜中になればばっちり営業しているはず。来たいな~来たいな〜と思いつつ、高いハードルをクリアしなければいけない。それはとてつもなく厳しいと言われている入場チェックだ。サメのような眼をした顔面刺青だらけ金歯だらけのおっかない用心棒ががっつり入場チェックするらしいのだ。そこで「お前はダメ、お前は入っていい」と基準が全く分からない判定が下されるそう。しかも館内は全面撮影禁止なので、入場時に携帯電話が取り上げられるとのこと。今ではどうやらスマホに特殊な赤いステッカーを貼られて、デヴァイスをかざしている奴らは放り出されて出入り禁止になるとのこと。夜中に並んだのに入場できなかったら、携帯電話が取り上げられて紛失でもされたら…これはかなりリスキーだ。




エントランスに近づく。何にも知らない人がこれを見たら、廃墟に落書きがされただけと思うだろう。だが週末の丑三つ時になると最先端ファッションに身を包んだ 24 hour party people やゲイの人たちが阿鼻叫喚の宴を繰り広げるのだ。仕方ないので、時間がない旅行者として第二の選択を取ることを考えた。




一駅戻って「ヤノヴィッツブリュケ(Jannowitzbrucke)」駅に着いた。川沿いにあるこの駅もアンダーグラウンドの香りがぷんぷん漂い、駅構内は昼なのにご覧のような薄気味悪さ。




この駅を出て、第二の選択となるクラブへ向かうことにした。それは余りにも有名な、全世界のクラバーが涙と涎を垂れ流して喜ぶ「Tresor」だ。かつては市の中心のポツダム広場にあったそうだが、大規模な再開発によって立ち退きを余儀なくされ、2007年に彼の地で再オープンを果たしたのだ。これまた駅周辺は無味乾燥なマンションが立ち並び、道路はどこでも工事中。東ベルリンの象徴的存在でもあったテレビ塔も見えます。Google Maps を見ながら川を渡って「Tresor」はどこかな~と探してみると…




こいつが Tresor だ!でかいよ、でかすぎるよ!取れ蔵さん!さすが超有名なクラブになると、こんなにもでかいのか!それにしてもでかすぎだろう!どうみても工場か発電所にしか見えないよ!でっかい煙突がにょきにょき立ってるし!




本当にこれが Tresor なのか?近づいてみたが、どうみても巨大クラフトヴェルクかデータセンターだ。だが Google Maps は明らかに Tresor を指し示している。建物の看板を見ると Vattenfall と書かれている。説明しよう、Vattenfall とはスウェーデンの電力会社であり、ヨーロッパ有数の多国籍エネルギー企業なのだ。事前情報では Tresor は火力発電所の跡地に移転したということだったが、ばりばり現役の発電所敷地内に店舗を構えているのだった。




それにしてもこんな近代的な建物のどこに名門老舗クラブがあるのか。ぐるっと建物の反対側に行ってみるが、そんな雰囲気は全くない。…と思っていたところ、視界の端っこが何かをとらえた。




柵にどーんと Tresor のスケジュールが吊るされている!ここは間違いなく Tresor だ!この日は3/20(Freitag 20.03)だったんだが、残念ながら僕の知っているDJはリストになかった。次の金曜になれば田中フミヤが出演することになっていたのだが。




そして敷地内に入ってみると、と、と、トレゾーの文字が!ここで再び説明しよう、僕はトレゾーと発音しているけど、正確な発音はトレゾアだ。現地の人に「トレゾー」と聞いても全く通じず、「ああ、トレゾアね!」と言っていたので間違いない。




エントランスの近くまで来た。Tresor は Berghain ほど入場チェックが厳しい訳ではなく、撮影禁止と言いながらもほぼ撮影OKらしい。故に第二の選択、つまりここに潜入するのは確実になった。夜中までまだまだ時間はあるので、ここから駅に戻って動物園駅方面の観光をしつつ、夕方には宿に戻った。
19:00にはベッドに入って夜中の突撃に備える。19:00と言っても日本時間で午前3:00なので、体をアジャストするのは簡単だ。



現地時間の午前2:00(日本時間の午前10:00)にガバ!と目覚め、タクシーに乗り込み5分ほどで現地到着。エントランスには行列が出来ていたが、なんのチェックもなく簡単に入場できた。入場料は13ユーロなり。




入り口から左に行くとクロークがある。事前情報ではエントランスからかなり遠く見つけるのも難しそうで、超無機質なエリアということだったが全くそんなことはなかった。おそらく前と場所が変わったんだろう。1.5ユーロを払ってコートを預ける。お店の人はとてもきさくだ。




クロークと逆方向に行くとバーがある。ビールは3.5ユーロで、同時に渡されるトークンと空き瓶を返すと0.5ユーロを返してくれる。客層は20~30代が多く、女性数人できているグループも多い。最先端ファッションな人たちを想像していたが、そこら辺を歩いているような人たちばかりで緊張感は全くない。座りながらビールを飲んで、隣の人達と乾杯したり。




フロアは地下1階にある「Tresor」と2階にある「Battery」、その上にある「Bar+4」の3つに分かれていて「Bar+4」は冬季閉鎖中とのこと。まずは地下の「Tresor」へと向かうが、この時点で腹に響くような重低音が身体を揺さぶってくる。




暗い地下通路はホラーな感覚が満点で、テンションは否が応でも高まってくる。




午前3:00頃、フロアは徐々に高まりを見せていた。腹に響くような爆重音で鳴らされ続けるハードミニマルへ集中できるように、照明は最小限にとどめられ、視覚を混乱させるようなストロボが焚かれ続ける。




檻がフロアとDJブースを隔てているのは凄いなあ。下手なプレイでもすれば、厳しいオーディエンスが物を投げつけるのかな。スピンするのはシカゴテクノのベテラン Hyperactive だ。重心の低いハードバンギンなキックがある、ねっとりとファンクネスあふれるハードミニマルで、テクノヘッズの心臓と脳みそをがっちりとロックしている。




Djブース側から眺めるの図。インダストリアル極まりない音と、コンクリートむき出しの壁がやたらとマッチしている。発電所だから途方もない頑丈な作りになっているんだろうね。ここで鳴らされる音はまさしくベルリン地下シーンの中枢なんだ、と考えると本当に身が震えてきた。




壁に落書きされた「Stony Techno」の文字。的確だ。




そしてお馴染みの Tresor トレードマークまで。




階段も朽ちた風情で、地下感覚をたっぷりと演出。いや、この雰囲気まじでやばいって。




写真を撮っていたら現地客が話しかけてきた。「俺を撮ってくれ」と言っているのか?と思いカメラをかざすと「違う違う一緒に写ろうよ」といって二人で自撮りしたり。客はおしなべてフレンドリーで愛に満ちていた。




2階にある「Battery」は地下ほど低音が響いておらず、スピンされている曲(というかライブをやっていた)も明るめ。このフロアにはラウンジも併設されており、腰かけてゆったりと飲む客が多い。中でも印象的だったのが、おそらく還暦前後と思われる夫婦。二人仲良く腰掛けて、音楽に合わせて身体を揺らしていた。あまりにも素敵だったので「日本から来たんですが、写真撮っていいですか?」と話しかけちゃった。断られたけど。高齢の方までクラブを楽しむのがベルリンの素晴らしいところ、とは聞いていたけど、目の当たりにするとやはり感動する。それにしても日本人は全くいなかったな。ベルリンに来る日本人はそれほど多くないし、季節的に言って観光シーズンでもないし、まして Tresor にくる人になると限られてくるんだろう。




朝7:00頃に退出。近くの駅まで歩いていき、屋台でドネルケバブを買ったら Tresor 帰りの酔っぱらいお兄さんが抱きついてきた。もじゃもじゃの髭をすりすりされて、変な気持になってしまったり。




宿に戻ってからチェックアウトし、12:00の飛行機に乗り、ヘルシンキ経由で帰国する。Auf Wiedersehen,Berlin !!!また来るよ!

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