2012年6月1日金曜日

Don't Think : The Chemical Brothers


Don't Think : The Chemical Brothers

フジロックフェスティバル2011でのライヴパフォーマンスの模様を収録したChems映像作品がリリースされました。サブタイトルに銘打たれている「Live at Fuji Rock Festival」は間違いではありませんが、この副題に惑わされてはいけない。この映像は劇場公開された「映画」であって「ライヴ作品」ではない、と理解するのが正しい。それ故、かなり意欲的な映像処理が施されており、彼らが持つ世界観や会場の臨場感を見事に表現していることに気がつく。特にBlu-rayで観ると、その映像や音響の素晴らしさを目のあたりにすることができます。

ただし、amazonなどのレビューにもある通り、ライヴ映像としてみるとかなり疑問点が残る部分があるのも事実。彼ら自身や舞台装置そのものを映し出す以上に、熱狂するオーディエンスの姿が強調されているので、この部分に興ざめする人も多いんじゃないでしょうか?ただし前述した通りの見方をすればかなり楽しめるはずだし、この演出によって臨場感が増しているのも事実。一番不評と思われるのは、終盤にかけて露出度合いが高くなる一人の女性オーディエンス。この女性は出演者としてクレジットされているMariko Kobayashi Stopfordという方。他のオーディエンスが恍惚とした表情を浮かべて忘我の境地に達しているのに対して、この女性はカメラを意識した芝居がかったアクションをしているのでかなりイラつく。この演出さえなければ、とつくづく思う(個人的にも好みの顔ではない)。

なお、巨大フェス映えする彼ら故、音源そのものはとてつもなく素晴らしい。新旧折り混ぜた名曲がシームレスに演奏され、この場に居合わせれば全身が揺さぶられるほどの感動を覚えたことだろう、と想像つく。特にハイライトは「Swoon」から「Star Guitar」に雪崩れ込むサイケデリア百花繚乱の瞬間と、後半の「Saturate」における演奏、映像、照明、風船の圧倒的なシンクロ。また、最後に巨大スクリーンに映し出された日の丸は、2011年にあの場にいた人達を勇気づけたことだろう。

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