2014年4月30日水曜日

Hesitation Marks : Nine Inch Nails

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NIN 5年ぶりの新作タイトルに冠されている「Hesitation Marks」とはためらい傷の意味。最高傑作である「The Downward Spiral」の最終曲として収録され、ミスター自己破壊のイメージを決定づけた名曲「Hurt」の流れを汲んだタイトルらしい。しかし単純に続編という訳ではなく、ミスター自己破壊の20年後の姿を投影させた作品とのこと。「The Downward Spiral」と同じデザイナーを起用し、フォントまで同じものを使用しているが、「The Downward Spiral」とは作風が決定的に違う。

一連のサントラ制作に関与し、How To Destroy Angels を通過しての新作ということもあり、今回の作品はこれまでにない風合いを帯びている。つまり外部への積極的関与による開放感を前者から得て、繊細なエレクトロニクス感覚を後者から得て、それらの感覚が全面的にフィードバックされているのだ。しかもアルバム中央には NIN 史上で一番の躁状態トラック「Everything」が据えられており、これがまた賛否両論。これまでにないファンキーさを散りばめているのにも、古くからのファンは違和感を覚えるだろう。 ちなみにサウンドプロダクションの完成度はこれまでの作品の中でもトップクラスの高さ。

この作品には、初期作品に見られる鬱屈とした閉じた感覚や沈鬱さ、怒りや破壊願望を表現した異常な衝動は殆どない。トレント・レズナーに子供が出来たという事実から分かる通り、かなり開かれた感覚が充満しているのだ。前述の通り「The Downward Spiral」をリリースした当時のクレイジーな状態を経て、今に至ったトレント・レズナーを表現しているのだ。初期作品のような雰囲気を期待しているファンは肩透かしを食らうであろうし、全く新しいモードを期待しているファンには諸手を挙げて迎えられるだろう。そういう意味ではチャレンジな作品と言っていい。

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