2013年10月7日月曜日

More Light : Primal Scream


More Light : Primal Scream

Primal Screamの新作を9月以降ずーっと聴き続けています。あまりにも混沌とした内容故、なかなか自分の中で咀嚼できなかった、ということもある。結論から言うと、ここ数作品の中でも最高傑作の部類に入るものだった。日本盤ライナーノーツでクボケンこと久保憲司氏が「プライマルズは三度目の頂点を迎えた」なんて書いていたけど、その意見は全面的に支持できるものだ。とは言っても本国UKでのセールス面では相変わらず芳しくないようだけど。

アルバム毎に作風をころころと変えるのがプライマルズの特徴だけど、振り返ってみると「Riot City Blues」(過去レビュー)以降の振幅はそれほど大きくなく、彼らのぶっとい幹となっているロックンロールを追求し続けていたように思える。その後に「Beautiful Future」(過去レビュー)でポップな側面を見せたけど、そこでも貫かれているのはロックンロールだった。あれからいつの間にやら5年。途中で名盤「Screamadelica」のアニバーサリー盤や再現ライヴツアーを挟んだので、それほどご無沙汰感はないんだけど、いつの間にやら5年。その歳月は彼らのロックンロールジャンキーな部分を強靭にしたようだ。

まず黒い。ファンクのようなどす黒さじゃなくて、クボケンの言葉を借りれば「70年代ブラックムービーのサントラのような」クールな黒さ。ソウルが満ちているレアグルーヴのような感覚だ。しかもサイケデリア百花繚乱で、ロックンロールなのにドラッギーなことこの上ない。聴く度に作品の印象が変わってくるので、全容を捉えるに時間を要してしまう作品だ。スケールが大きくて混沌としているので、作品を簡単に説明できないのがとても歯痒い。とにかく聴いてくれ、としか言いようがない。

しかも日本盤に収録されているボーナストラックや、デラックス・エディションに付いてくるボーナスCDの内容が劇薬のようだ。作品そのものを更に拡張し、元から混沌とした作品を更にカオスにしている。特に先行シングル「2013」をAndy Weatherallがリミックスしたトラックは必聴。ホーンが最高にクールなロックンロールが、ますます男気溢れるトラックになっている。

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