2013年8月21日水曜日

Frequencies : LFO


Frequencies : LFO

現代テクノ文脈を語る上で外せない作品「Frequencies」が今年になってリイシューされています。しかもレアトラック4曲を追加して、高音質SHM-CD仕様となっては入手しない理由はないというもの。

以前にも記事を書いたことがありますが、敢えて改めるとLFOとは90年代初頭にデビューしたブリープテクノユニット。マーク・ベルとギャズ・ヴァーレイが結成し、現在はマーク・ベル単独のユニットとなっている。問答無用、説明不要の最重要レーベル「Warp」から作品をリリースし、その後にWarpがアーティフィシャル・インテリジェンス・シリーズをリリースしたことを考えると、いわゆるベッドルームテクノもしくはIDM(インテリジェント・ダンス・ミュージック)の始祖とも言える。彼らがいなければオウテカも存在しなかっただろうし、エレクトロニカというタームも生まれなかったに違いない。

それよりも重要なのが、本作は隆盛を誇っていたシカゴハウス~デトロイトテクノへのUKからの回答、とも言われていること。UKではセカンドサマーオブラブ真っ盛りではあったが、それまでUKではダンスミュージックに根差した電子音楽は皆無だったのだ。デトロイトテクノがアメリカ黒人音楽(ファンク~ディスコ~ハウス)に根差していたのに対して、UKテクノはバックグラウンドを持たない突然変異的存在だったのだ。更に興味深いのが、デトロイトテクノを生み出した若者も、UKのマーク・ベル達も工業都市の労働者階級出身だったこと。ささやかな機材を使って、何もない場所から最先端の音楽を作り上げていった事実は実にドラマティックだ。

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