2013年1月17日木曜日

Lux : Brian Eno


Lux : Brian Eno

現代音楽の巨匠 Brian Eno がWarpから新作リリースするようになって2年が経っています。そのWarpから初のアンビエント作品であり、21世紀初のアンビエント作品でもあるアルバム、と商業的に宣伝されていますが、このアルバムを聴くには全ての雑念を排除して、そこにある音に耳を澄ませば良い。

そもそもはトリノで開催されたサウンド・インスタレーション展「The Great Gallery of the Palace of Venaria」向けに制作された音源であり、その後ロンドン、シドニー、ニューヨーク、そして羽田空港でプロモーションを行なってきたというから、Enoのこの作品に対する意欲が伝わってくる。

元々は「play of light(光の戯れ)」というタイトルであり、作品の主題にも据えられているが、最終的には光の単位でもありラテン語で光を意味する「Lux」というタイトルが冠されている。兎にも角にも、この作品から響いてくる音の群れは場所や時間を選ばず、聴き方も一切提示されていない。逆に言えば、場所や時間、聴き方によっていかようにも変わっていく光の群れのような作品だ。

一日中、部屋の中にいれば、窓から差し込む光の移ろいや温もりの変化に気がつく。そこにいる人は、自分の気分によって光の捉え方も変わってくる。光と時間の関係性に思いを馳せながら聴くのもいい。この作品から感じ取れる抽象的概念に思考を巡らせるのもいい。ただひとつだけ言えるのは、この作品からは淡々とした愛情が感じられるということだ。

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