2013年1月5日土曜日

Allelujah! Don’t Bend! Ascend! : Godspeed You! Black Emperor


Allelujah! Don’t Bend! Ascend! : Godspeed You! Black Emperor

カナダの大所帯ポストロックバンド「Godspeed You! Black Emperor」が10年ぶりとなるアルバムをリリースしました。2010年にはライヴ活動を再開していたので、遂に本格始動となる訳です。とにかく不穏な轟音に満ちたオーケストラルサウンドは相変わらずGY!BEだと唸らせるもので、独立志向の強いケベック州出身というのも何らかの作用を及ぼしているのではなかろうか。

まず本作は4曲のみが収録されているんだけど、約20分に及ぶ大作が2曲と約6分半のドローン(持続音)で構成される2曲のみ、というのも相変わらずな構成。もはや作品全体を通して組曲とも言えるもので、序盤の静謐かつ不穏な音から狂気が静かに伝わってくる。やがては重く歪んだギターが轟音へと変貌し、シンフォニックに響き渡ってくるが、時にして中近東的フレーズが挟み込まれることによって破壊的な不安な増幅されていく。

程なく不気味なドローンを挟み込んで、2つ目の大作へと雪崩れ込むが、幾層にも塗り重ねられた音の壁が、更にリスナーの耳を圧迫していく。光の渦へと突入していくかのようなポジティヴィティが圧巻であり、疾走感を携えながら作品は最終局面へと向かっていく。狂気と混沌、再生と祝福を描いた作品は現実世界を象徴しているかのよう。

言葉のない、メロディアスに歪んでいる重量級轟音ギターの世界はまるでドゥームメタルのようでもあり、展開の多さはプログレッシヴロックのようでもある。いや、そのどちらにも属さない彼らの世界こそ孤高であり、狂気と破滅の宴を発信し続ける舞台装置なのだ。

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