2012年5月17日木曜日

insen : Alva Noto + Ryuichi Sakamoto


insen : Alva Noto + Ryuichi Sakamoto

ここ最近の最適な睡眠導入剤となっている本作。坂本龍一が紡ぎだすミニマルで揺らぎのあるピアノの調べに、Alva Notoことカールステン・ニコライが創りだす電子サインウェーヴ。儚くも泡立ちは消えていく音に耳をすませば、聴き手のその日の精神状態を増幅~補完してくれるだろう。雑踏の中に身を置いて、耳を音に委ねる。その音は都市生活者の慌ただしさと日々の速度、その中に生きる私たちの誰も気も払わない個に気づきを与える。日の当たる静かな部屋に身を置いて、耳を音に委ねる。何気なく注がれる陽光の優しさと空気のいたわりが、こんなにも身の回りに満ちていることに気づく。この音楽を意識せずに聴けば単なるアンビエンスに帰結するだろう。ただし、意識することによってこの音楽は聴き手の不安や日常の優しさに気づきを与える、私達の生活に寄り添うような姿勢を持っていることに気づく。単なるヒーリングミュージックでもなく、単なるアンビエントミュージックでもない。深層意識をあぶりだしていく至上のエレクトロニカ。

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