2012年1月17日火曜日

(Ăhk-to͝ong Ba͞y-bi) Covered


(Ăhk-to͝ong Ba͞y-bi) Covered

去年はAchtung Baby(過去レビュー)がリリースされて20年経過ということもあり、様々なバージョンの記念盤(過去レビュー)がリイシューされました。それに加えて、英国雑誌の「Q」が付録としてトリビュート盤をリリース。出版前に海外プレオーダーすれば、送料込み1,800円ほどで入手できましたが、今となって入手困難状態。フィジカル作品を入手するにはamazonマーケットプレイス等で大枚を払わなければならない。だけどご心配するなかれ、今ではiTunesで手に入れることができます。ちなみに、本作はチャリティ盤となっており、デジタル音源からの収益はアイルランドNPO「Concern Worldwide」と送られ、貧困撲滅運動に充てられるようです。

さて、このトリビュート盤に参加しているアーティスト群については下記トラックリストをみてほしい。よくもまあこんな豪華なアーティスト/バンドを集めたもんだ、と感心してしまった。それだけ、このアルバムは数々の人たちに愛されてきたんだな、とも思える。ただし、カバーというのは非常に難しい作業だと思う。前にも書いたことがあるんだけど、オリジナルを踏襲しつつも新しい領域へと昇華させる作業だと思うから。

その意味で、これらカバー集の中で出色の出来だったのがPatti SmithとJack White。前者はまさしく女王の風格ありすぎとすら思えるほど。タイトルのように、世界が終わる日に聴こえてきそうな、世界の果てから聴こえてきそうな、ジャズナンバーへと変貌を遂げている。オリジナルとは対極の作風にありながら、同一の世界観を持つという恐るべし仕上がりになっていた。後者のJack Whiteは、邦題である「恋は盲目」が馬鹿馬鹿しくなるほどの壮絶ロックンロールナンバー。ボーカルとギターが鬼気迫る迫力を持っており、言葉を失うほどの素晴らしさ。

同世代的なNine Inch Nails、Garbage、Depeche Modeについて言えば、非常に無難なカバー具合。彼らがU2をカバーしているな、ぐらいの出来に終わっており、もっと老獪さを見せても良かったんじゃないかな?特にNINなんて豪快なインダストリアルサウンドを期待していたんだけど、狂気を内包する物静かなトラックになっていた。
U2の後続アーティストは全く期待はずれ。オリジナルに敬意を払いすぎているのか、忠実になりすぎている(悪く言えば模倣に終わっている)The KillersやGlasvegasについては失笑すら覚えてしまう。てな具合に、評価が大きく3つに別れるトラック群だったのが興味深い。中でも異彩を放っていたのが「Even Better Than The Real Thing」のスチュアート・プライスによるリミックス。かつてのリミックス作品が単なるハウス焼き直しだったのに比べて、このリミックスはキックが図太いエレクトロナンバーになっており、数あるリミックスの中でも素晴らしい。

Tracklist

Nine Inch Nails - Zoo Station
U2 (Jacques Lu Cont Mix) - Even Better Than The Real Thing
Damien Rice - One
Patti Smith - Until The End Of The World
Garbage - Who's Gonna Ride Your Wild Horses
Depeche Mode - So Cruel
Snow Patrol - Mysterious Ways
The Fray - Trying To Throw Your Arms Around The World
Gavin Friday - The Fly
The Killers - Ultraviolet (Light My Way)
Glasvegas - Acrobat
Jack White - Love Is Blindness

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