2016年7月4日月曜日

Chaosmosis : Primal Scream



アルバム毎に作風やコンセプトをカメレオンのように変貌させてきた俺たちのプライマルズ。2008年の「Beautiful Future」以降は振り幅も大きくなく、安定感のある魔法のようなロックンロールを披露し続けている。そして「More Light」から3年ぶり、いよいよ年齢という足枷を感じさせない、妖艶でスリルのあるロックンロールをボビー・ギレスピーは手中にしたようだ。

ゴスペルの香り漂うリードトラック「Trippin' On Your Love」では名盤「Screamadelica」の再来を感じさせるが、単純に焼き直すだけでは終わらない。混沌とした世界や体制への共闘を呼びかけるが如く、セクシーかつ色彩豊かなハイエナジー・ロックンロールを叫び続ける。特に「Where The Light Gets In」で23歳女性シンガー Sky Ferreira を起用するあたりは中年親父の老獪な技を感じさせる。

各曲の方向性は節操が全くないが(それこそプライマルズ!)、ほぼ全編に渡り女性シンガーがフィーチャーされているので、ファッキンなエロスがそこかしこから迸っている、滴り落ちている。ぶれない、相変わらずぶれない。根っこにあるのはブルーズであり、パンクであり、ロックンロールであり、栄光を手にするまでの闘う姿勢だ。芸術とは自由であり、かつ闘いであることを再確認できる傑作であるのは間違いない。

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