2015年1月28日水曜日

The Inevitable End : Royksopp



僕にはかつて北欧出身の同僚がいたんだが(今は連絡先が不明)、そいつは物静かで礼儀正しくて生真面目な男だった。彼の存在も手伝って、僕にとって北欧の人たちはおおむねそんな印象だ。いささか乱暴な見方なのは分かっているけど、我々日本人と共通した感覚を持っているように思える。Royksopp & Robyn としてリリースした前哨戦「Do It Again」(過去レビュー)を経て、「避けられない終わり」と名付けられた最後のアルバムをリリースした Royksopp も同じく真摯な姿勢を持っている。

音楽制作活動は続けるとしながらも、アルバムというフォーマットで作品発表するのはこれが最後。同形式での表現活動はやり切った感があるようで、新たな表現方法を模索するという姿勢こそまさしく真摯と言えないか。そしてこの作品には従来の多幸感はほとんどなく、内省的でダークな寂寥感が満ちている。音作りは彼らが持ち合わせている幻想的でポップなエレクトロなんだが、シンフォニックな広がりは明らかに EDM と一線を画している。やはり彼らも EDM には批判的なようで、音圧をただ上げりゃいいってものじゃないと発言している。この作品は常にリミッターの極限まで上げられた音楽に背を向けており、フロアでもベッドルームでも機能するような作りになっている。旧態依然とした過去フォーマットへの決別と、クラブミュージックを抹殺しかねない EDM への決意とも受け取れる。

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