2012年10月11日木曜日

Valtari : Sigur Ros


Valtari : Sigur Ros

「残響」(過去レビュー)から4年も経ちました。でもその間にJonsiのソロ活動が活発だったり、ライヴ盤(過去レビュー)をリリースしたこともありご無沙汰感はそれほどない。何はともあれ、孤高の存在である彼らの新作をこうやって聴けるのは嬉しい。

「残響」でファンを驚かせた開放感は控えめで、初期作品に顕著だったアンビエント感覚が揺り戻されている。とは言えども、「()」(過去レビュー)や「Agatis Byrjun」(過去レビュー)が持ち合わせた、聴き手の不安を駆り立てるような凍てついた感覚は全くない。遠くから厳かに聴こえてくる賛美歌のように美しく、ジャケットアートワーク(Jonsiの姉妹たちであるLiljaとIngaによるもの)に写っている大海のように穏やかで、どこまでも続いていく空のように壮大な音の群れ。これまでの作品にないほど優しく、荘厳で、繊細さに満ち溢れています。

どのようなシチュエーションであれリピートに耐えうる内容なのは、これまでに無いほどアンビエントでミニマルな感覚を持っているからなんでしょう。「圧倒的な力で制圧する」という意味を持つタイトルに偽りなし。静かに心へ浸透していくこの音楽は、紛れもなく圧倒的な力を持ちあわせており、リスナーの魂を制圧していきます。

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