2015年12月12日土曜日

25 : Adele



「21」(過去レビュー)以来、約5年ぶりとなる新作がリリース。「全世界が待っていた」と言い切りたいぐらいの売れ行きで、発売3週間で500万枚というスーパーメガヒットぶりを発揮しています。定額制ストリーミング配信を拒否しているので、胸のすく思いというか、素直に「ざまあみろ」と言いたくなる(誰に!)。

どうやら21世紀最大のヒット作となる模様で、インシンクが樹立した2000年の記録を塗り替えたらしい。しかもビルボード1位になった時、2位はジャスティン・ビーバーだったとか。これから分かるとおり、米国チャートは相変わらずアイドルが幅を利かせている体たらく。そんな死に体マーケットの中で、この作品が売れまくっている事実は実に興味深い。

リリースにあたっては特別なマーケティング展開は見当たらず。ブランクが空いたのでリスナーが飢餓感を煽られた、というのもしっくりこない。前作以降は出産と育児、創作活動に専念していたはずで、戦略的にブランクを空けた訳でもないだろう。単純にリスナーは良質の音楽を待ち望んでいた、としか言いようがない。著名なミュージシャン達から強力な支持を集めている彼女でもあるので、リアルな支持層ががっつりと後押ししている結果なんだろう。

この作品で歌い上げられているのは、謝罪、贖罪、後悔、哀愁の念と言ったもので、過去の作品から大きな一歩を踏み出している。ボーカリストの力量はいうまでもなく、情感と深みとソウルのある表現力は更に増している。様々な超一流プロデューサー(Ariel Rechtshaid から Mark Ronson や Danger Mouse まで!)を起用することにより、作品全体は前作のブルース色から脱却してバラエティ豊かな彩りに。芳醇なポップネスというのは正にこのこと。こういう作品が大ヒットを飛ばすと、音楽市場もまだ望みがあると思えます。

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