2014年12月5日金曜日

無頼庵

ロック史を振り返ると、いつの時代にもブライアンという名のつく男たちがいた。60年代ではビーチボーイズのブライアン・ウィルソンやストーンズのブライアン・ジョーンズ、70年代以降ではロキシー・ミュージックのブライアン・フェリーやブライアン・イーノ、クイーンのブライアン・メイ、80年代以降ではブライアン・セッツァーやブライアン・アダムスといったところだ。そして時は流れて21世紀になると、世田谷区の経堂にロック魂溢れる二郎系ラーメン店が出現する。その名は「無頼庵」。


世田谷区と言えば「ラーメン二郎 上野毛店 」「 」「蓮爾 さんこま店 」「らーめん 辰屋 」「りらくしん 」といった本流およびインスパイア系が軒を連ねる二郎系の激戦区。いや、激戦区というよりも日本で一番、二郎密度が高いエリアと言える。何故このようなセレブリティタウンに、これほどの二郎系が集結するのか?理由は明快、前にも言及したが セレブリティは二郎系がお好きだからだ、そうとしか考えられない。だが、世田谷にロックは似合わないのでは?ためしに「世田谷区 ロック」で検索してみると「オートロック」という結果がわんさか出てきた。なるほど…セキュリティ意識の高いセレブリティタウンならではの発想だ。Lock と Rock で整えるとは…。とりま、入店してきた。


ラーメン並盛をヤサイアブラで注文。隣に座った男性が苦悶の表情を浮かべながら食べているので、だんだん心配になってきたところへ美しい山もりが目の前に降臨した。事前情報によればキャベツ比率が低いとのことだったが、ご覧の通り色鮮やかなキャベツがちらほら見えて一安心。もやしは軽く茹で上げられているのでシャキシャキ感がばっちり残っている。ブタは大ぶりの岩みたいなやつが一塊ぶっこまれている。まさしくロック!適度に煮込まれているので肉の食感を楽しむには最適だが、もっとホロホロに煮崩れするぐらい柔らかくてもよかっただろう。いや、ロックはヤワではいけないという意思表示なのかもしれない。


ヤサイにスープをふりかけて大地の恵みを感じつつ、全体ボリュームを徐々に減らしていく。卓上にあるカラメボトルを振り掛けて食い進むのもありだろう。スープは事前情報の通りの味わいで、相手を激しく強打するほどの打撃系ではなく、優しい味わいの豚骨醤油スープと言ったところだ。言うなれば狼の皮を被った羊のようなもので、見た目で相手を圧倒しながら、実のところは優しくなくてはいけない、というロックの本質を見る思いがした。そして全体のかさが減ってきたところでおもむろに天地返し。つるりとした表面のもっちりもちもち極太縮れ麺は圧倒的ボリュームで、胃袋と脳みその満腹中枢をじわじわと刺激していく。隣を見ると先程の男性は今にもぶっ倒れそうな勢いで麺を残していた。取りあえず全ての麺を回収したところでゆっくりとスープを味わう。やはり優しい味わいでビート感覚はないが、壮大なロックバラードのような一杯であった。

無頼庵ラーメン / 経堂駅宮の坂駅千歳船橋駅
夜総合点★★★☆☆ 3.5
昼総合点★★★☆☆ 3.5

0 件のコメント:

コメントを投稿