2014年12月21日日曜日

ラーメン二郎 めじろ台法政大学前店


或る晴れた日。高尾山に登って天狗に会おう、とひたすら車を走らせていた。ドライブし続けて90分もすると、赤・青・黄の鮮やかな3色が目に飛び込んできた。信号機と勘違いしてしまい、思わず車を停めてしまったが、それこそ二郎の黄色い看板と、赤と青の自動販売機であった。辺りに漂っている豚骨臭が鼻孔をくすぐり始めたので、高尾山を征服するのは中止にして、その代わりに二郎という聳え立つ山を征服することにした。時は14:00、閉店まであと30分。店内外には8人ほどの法政大学生らしき屈強な若人たちが並んでいたが、どうにか着席することが出来た。


ラーメン小をニンニクヤサイアブラで注文。さすればヤサイがうず高く盛られ、頂上にはプルプルした豚のアブラがまぶされた巨大な山が目の前に姿を現した。山頂に降り積もった雪のようなアブラの下には、草原のように鮮やかな黄緑色のキャベツが比率が高めで存在感をアピール。山の麓にはとぅるんとぅるんとしたアブラを湛えたブタが、茶色い岩石のようにごろんごろんと転がっている。その横には細かく刻まれたニンニクが、道端に咲くたんぽぽのように黄色く彩りを添えている。高尾山よりも険しそうな山が目の前に現れたが、こんなものを征服するのは実に簡単だ、と思わず高を括る。だがそれこそ己の未熟さであった。

巨大岩石の塊のようにぶちこまれたブタ2つは、コラーゲンたっぷりの脂部分がじんわりと柔らかい。肉本体にも煮汁がばっちり染みわたり、噛みしめればホロホロと柔らかく繊維質が崩壊していく。ニクニクした豚肉を先にやっつけ、スープにニンニクを溶かしながらじっくりと味わう。それほど乳化していないスープには豚骨の旨味とエフゼットの甘辛さが溶け込み、どんな山でも簡単に征服できる!ヒャッハー!と自分を全能の神と錯覚してしまうほどの覚醒感に満ちている。


山を覆い尽くす野菜をある程度刈り取ったところで、おもむろに天地返しを行えば、小麦色の平打ち麺がスパルタンな物量で登場した。表面はぬめぬめしているが、噛めばワシワシ、噛みしめる度にグニグニした食感。麺を食べ進めるにつれて、胃袋を容赦なく膨張させていく小麦パワーを感じ、これは全部食べきれないのでは…?と汗をかき始めた頃にようやく完食。旨い。美味すぎて、アブラが溶け込んだスープもじっくりと堪能。ライト寄りの味ながらも奥深い旨味のあるスープは、山頂で飲むコーヒーかと勘違いしてしまうほど芳醇だ。拡張しきった胃袋の膨満感を味わいながら、どうにか征服することが出来た自分を労ったが、簡単に征服しようとした自分こそ天狗なのであった。高尾山で天狗に会うのもいいだろうが、二郎で天狗になるのも悪くない。

ラーメン二郎 めじろ台法政大学前店ラーメン / めじろ台駅八王子みなみ野駅山田駅
夜総合点★★★☆☆ 3.8
昼総合点★★★☆☆ 3.8

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