2014年6月23日月曜日

らーめん豚義


アラフォー以上の世代なら必ず知っているドラマ「金曜日の妻たちへ」。そう、「金妻」として知られ、日本中の主婦層に不倫願望とセレブリティ願望を植えつけた83年ドラマだ。舞台となったのは東急田園都市線 屈指の高級住宅地として知られ、たまプラーザ~あざみ野に広がる「美しが丘」という街だ。そんなセレブリティな街にとうとう黄色い看板を掲げるラーメン店が2014年6月にオープンした。その名は豚義。


そもそも「義」とは儒教の主要な思想であり、五常(仁・義・礼・智・信)の一つとして知られる。正しい行いを守ることであり、人間の欲望を追求する「利」と対立する概念として考えられている。その「義」の前に、人間の欲望を追求する「利」と同義ともいえる「豚」という文字が掲げられている。実に深い店名だ。車の往来が激しい通り沿いにあるが、離れたところに駐車場が3台分確保されているのが嬉しい。ともあれ、普通盛りのラーメンを注文する。前払いではなく、食後に支払うシステムになっているのに注意されたい。着席すると無料トッピングを尋ねられるので、ヤサイニンニクアブラをお願いした。


均整の取れた美しいエクステリアを誇る麺が着丼。高くそびえ立つ野菜の頂上にはツゥルッツゥルな半固形アブラが散りばめられている。見目麗しいその姿はジロリアンだけでなく、美しが丘のセレブリティをも魅了するに違いない。野菜はキャベツの比率がやや高く、シャキシャキ感やボリューム感は申し分ない。レンゲでスープを啜ると、二郎特有の甘辛さはあるものの、塩分はそれほど立っていなく控え目だ。ややとろみがかった油ギッシュなスープは、二郎本流と何ら遜色のない出来といえる。そのスープににんにくを溶かして旨味を演出させたところで、旨味スープを野菜にふりかけてもしゃもしゃと食い進む。


適度に野菜を減らしたところ、ほろほろに崩壊した豚がこんにちは。かなり煮こまれているせいなのか、柔らかさと凝縮された旨味が素晴らしい。惜しむらくはそのボリュームで、小ぶりに粉砕された豚のかけらが複数個投入されているのみ。このクオリティを保持しつつ、もう少し量を増やしてほしいところだ。


高い剛性を持った極太麺をリフトアップすると、やはりこの麺のボリュームは只者ではないことが分かる。ゴワゴワした食感は百戦錬磨のジロリアンを唸らせるに違いなく、地元のセレブリティ不倫カップルの精力を漲らせるのに一役買うだろう。開店直後なのにここまで完成度の高い麺を提供するとは実に恐れ入る。二郎本流に比べてジャンキーな攻撃性は低いが、今後の躍進を期待できるニューホープがここに誕生した。

らーめん豚義ラーメン / たまプラーザ駅あざみ野駅
夜総合点★★★☆☆ 3.9
昼総合点★★★☆☆ 3.9

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