2014年1月28日火曜日

Rival Dealer : Burial


Rival Dealer : Burial

ここ最近はアルバムをリリースせず、EPを年1回(しかも年末に唐突に)リリースするのみとなっている Burial。そんな孤高の存在である彼の新作が議論を醸し出している。全3曲で、その内2曲は10分以上の長尺曲。でもそれは陳腐な単語に成り下がってしまったダブステップでは最早ない。

レコード盤をトレースする針から聴こえるようなグリッチノイズが万遍なく散りばめられており、涅槃の彼方から幽玄に響くようなボーカルサンプリングも普遍的だ。にも拘わらず、どうやら彼はこの作品でダブステップの終焉を高らかに宣言してしまったようだ。引用されているリズムはドラムンベースや BPM が速い四つ打ちのテクノビート、そしてアンビエンスな鳴り。それらが組曲のように連なっていき、踊ろうとする人たちを途方に暮れさせてしまう。

イスラム世界の夕暮れに鳴り響くコーランのように妖しくて、リアルな暗黒世界に轟いているダブステップへの鎮魂歌としか思えない。聴き手の居心地を悪くしながら、暗い淵の周りを延々と歩かせるようにリピートさせる音楽は、もはや罠としか思えない。

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