2015年5月7日木曜日

First You Gotta Shake the Gate : Funkadelic


First You Gotta Shake the Gate : Funkadelic

70年代以降の黒人音楽の意識集合体であり、今なお現代の黒人音楽に多大なる影響を及ぼし続けているPファンク。中核をなすのが Parliament と Funkadelic であり、今では両者が融合し P Funk All Stars となったり、総帥である George Clinton のプロジェクトとなったり、と彼らの音楽性さながらに混沌とした状況になっている。そんな中、黒人音楽にヘヴィなギターとサイケデリック要素を注入し続けた Funkadelic が何と33年ぶりに新作リリース。しかも33曲入り3枚組という大ボリューム(この冗舌さこそPファンク)。81年以降には「Parliament-Funkadelic/P-Funk All Stars」名義の作品や蔵出し作品がリリースされているものの、純粋に Funkadelic 名義でリリースされたことはファンク界での大きなニュースだ。

クレジットに名を連ねているのは Michael Hampton、Bernie Worrell、Fred Wesley、Maceo Parker、William "Bootsy" Collins といったファンク界のレジェンド、更には Sly Stone までも召喚し、孫のTracey Lewis を含めた新世代、果ては故人となっている Garry "Starchild" Shider、Eddie Hazel まで。過去から現代を経て未来まで累々と流れるアフロフューチャーリズムが壮大な一大絵巻として描かれている。過去音源の引用や現代のヒップホップやエレクトロファンクのマナーを貪欲に吸収し、全てのファンクをPの色に染め上げていく姿は圧巻。

ここに来て Funkadelic の名義を使う必然性は感じられないが、73歳になった御大 George Clinton が自叙伝を出したことから察するに、これまでの財産を総括し、次世代にPのDNAを受け継がせようとする姿勢の表れなんだろう。もはや黒人音楽のカテゴリーとしてではなく、観念や思想として捉えるべきものがPファンクなのだ、と思い知らされる濃厚なストロングファンク作品だ。

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