2014年8月2日土曜日

麺屋 航


目黒駅周辺において、ラーメン店が充実しているのは権之助坂方面だけではない。駅の東口を出て、徒歩5分ほどにある「麺屋 航(わたる)」もこの界隈の一翼を担う存在だと聞いている。通常の中華そばやつけ麺に加えて、目黒ブラックなるメニューまで取り揃えているそうだ。富山ブラックではなく目黒ブラック…目黒ゆえにブラックというストレートな思いに惹かれ、夏の暑い日なのに汗を垂らしながら足を運んだ。


様々なメニューが用意されているので、どれにすべきか頭を悩ませてしまうところだ。基本に立ち返って中華そばにすべきか、現在の麺業界においてメインストリームとなりつつあるつけ麺にすべきか、ジャンクな味を追求するために特製まぜそばにすべきか。いや、ここはやはり店のアイデンティティを表しているとしか思えない「目黒ブラック煮干しそば」だろう。大盛880円の食券を購入した。


黒い。写真じゃ黒さが伝わらないが、スープが間違いなくどす黒い。その黒さゆえに目を白黒させてしまい、最終的には目が黒になってしまった。そう、ここは目黒なのだから、目が黒くなっても何ら問題ないのだろう。ちなみに2枚搭載されたチャーシューには豚バラ肉が使われており、脂身の柔らかさゆえに箸で掴むとほろっと崩れてしまいそうだ。他に使われている具材はかいわれ大根に、刻みタマネギ、メンマとなっており、スープのこってりさ加減を緩和させる演出なのだろう。


スープの表面には油膜が張られており、熱を封じ込める蓋の役割を果たしている。黒いスープの中にちらほら浮いているのは背脂なので、動物系~とくに豚骨~のだしも使われているのだろう。スープを啜れば、口腔内に魚介系かつ煮干しのニボイ香りが立ち込めるが、動物系だしのフックが効いており、甘みすら感じさせてぐいぐい飲みたくなる衝動に駆られる。それぞれのだしが実に複雑に補完し合っており、スープの色が持つ錯覚性で自分が何のスープを飲んでいるのか分からなくなってきた。そう、これこそ目黒ブラックが持つマジックなのだ。


いかにもモチモチしてそうな麺をリフトアップすると、中太麺が全身に黒いスープを纏って登場。小麦の香り立ち込めるモッチリ麺に、煮干しの香り立ち込めるスープが拮抗し、コシとコクの両方を堪能することが出来る。新次元の旨さなのに、どこか懐かしさを覚える旨さ。大盛を頼んだせいでそのボリュームに苦労しながら麺を完食。丼に残った黒スープの表面に浮いている背脂を回収し、夏の暑さで失われがちな脂分を補給する。甘味と旨味がありすぎて、丼の底がだんだんと見えてきてしまった。間違いなくコク旨な一杯だ。

つけ麺 / 目黒駅白金台駅五反田駅
夜総合点★★★☆☆ 3.8
昼総合点★★★☆☆ 3.8

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