2017年1月18日水曜日

COW / CHILL OUT, WORLD ! : The Orb



昨年10月にリリースされた The Orb 最新作は「キャリア史上最もアンビエントな作品」と銘打たれている。タイトルから言って The KLF の大名作「Chill Out」やピンク・フロイドの「原子心母」に対する何らかの回答、もしくはオマージュと取るのは自明。メンバーの Thomas Fehlmann が 「21世紀なんだから、みんな座してチルアウトするのがいいぞ、破壊的行動を続ける前にな(It's the 21st century and it seems like a good idea for people to sit back and chill the fuck out, before continuing to act destructively.)」とプレスリリースで語っており、アンビエントというよりはチルアウト的作品であるのは間違いない。

そもそもアンビエントとチルアウトに境目はあるのか?これは紛れもなく存在すると思う。アンビエントが無意識下の音楽であるのに対して、チルアウトは能動的鑑賞を促す作用を持っているからだ。ユーザの使用方法や感じ取り方によって左右されるものの、睡眠作用または覚醒作用のどちらかで定義付けされるとすれば、この作品は覚醒感に満ちている。

耳を澄ませばウルトラワールド的ダブ音響処理がなされながらも、牧歌的で多幸感溢れるサウンドスケープが累々と連なっているじゃないか。まぎれもなく90年から続いているイビサ的空間がここで再現されており、かつ世界へ変革を促すような振動に満ちている。盟友である Killing Joke の Youth、およびアンビエント界の巨匠である Brian Eno の実弟である Roger Eno も参加しており、ここ最近のチルアウト作品の中でも出色の出来に仕上げている。

※作品を聴きながら、隣に座ってる赤ちゃんを見つつ記事を書きました。この作品と赤ちゃんの組み合わせはとんでもない覚醒感がありました。

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